第36話 私の気持ち
ー翌日のお昼休み、
碧人様は来なかった。
私も誘いに行くことができなかった。
翔に「どうした?」とお昼休みに話しかけられ、
さつき様を碧人様の家に誘ったこと、
私たちのことを勘違いして、
さつき様に2人のことを応援していると言われたこと、それを碧人様に聞かれてしまい…
と一連の流れを伝えた。
ーさすがにキスされたことは、翔には言えなかった。
「なんか大変なことになってるなー。
もっと単純に考えた方がいいんじゃないか?」
「単純ってどういうこと?」
「西園寺が例えば柏原のことが好きだったとする。
でも西園寺はアタックしてないんだから、
柏原とどうなりたいって訳じゃないんじゃないか?」
ー確かに、その通りかもしれない。
私がいる限り…
「正直俺だって西園寺の気持ちはわからない。
でも、大事なのは自分の気持ちじゃないか?」
「自分の気持ち?」
「そう。
他に好きな人がいる人と結婚したくないっていうなら、それもありだと思うぞ。」
ーそういう訳じゃない。
「ただ、そうであっても、
自分が結婚して隣で支えたいっていう考えもあるだろう。
美姫はどうしたいんだ?」
私は、碧人様が好きな人と上手くいくなら、
その方がいいと思ってたー、
でも、それでも私と結婚していいと思ってくれるのならー、
「私は碧人様が好き。
他に好きな人がいても一緒にいたい」
そう翔に伝えた。
「よし、それを西園寺に伝えろ。
人の気持ちなんてわからないんだから、
自分から伝えていかないと。」
「うん、ありがとう。」
翔の言う通りだと思った。
碧人様の考えを頭で想像してもわからない、
きっと碧人様も私の気持ちをわかっていないと思う。
ー私は碧人様に自分の気持ちを伝えることを決めた。
この時、
碧人様が遠くから私たちのことを見ていたことに、全然気付かなかった。
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