疎遠になってた親戚の女の子と同棲することになったんだが!?

ともP

第1話 夏の思い出


 水平線の彼方に、ただ一筋のひこうき雲がたなびいていた。


 振り返れば、富山湾の向こうに雪化粧をした立山連峰が見える。その手前に佇む奇妙な形をした岩は「女岩」と呼ばれているものだ。


「よく、あの女岩に向かって泳いだもんだ」


 ふと、おじいちゃんが話していた昔話が脳裏を過った。


 ビビッドな朱色の国鉄時代のディーゼルカーが海岸の青色の背景をまるで切り裂くように駅のホームに入ってくる。


「あっ、こんなところにいた。みんな集まってるから早く帰って来いって!」


 白のワンピースに麦わら帽子を被った詩織が、こちらに向かって元気よく手をぶんぶんと振っている。綺麗な黒い髪は、白のワンピースに良く映える。


「おーい、ハルくん早く!」

「分かってるよ。今行くから待ってろ」 


 この時からだろうか……。

 詩織を女の子だと意識し始めたのは……。

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