第9話 彼のゲームに退路なし

 あのモパンによるビル爆破から数日後。反ホニャ国組織ホニャイヤダは日本でのモパンの動きが過激になった事に対し、ゼコウ率いる本隊を日本に派遣した。


 T市某所にて。


「諸君!なぜ我々がここにいるのかわかるか!?我ら祖国を傷つける敵であるモパンが日本でも行動を開始した為である!我らの目的はなんだ!?憎きモパンを倒し、祖国ホニャ国を取り戻すことである!しかし、憎きモパンがさらに誰かを傷つけるのであれば我々は戦わねばならない!。誰かが傷つけられているのを見て、見て見ぬふりをする者には、誰も守ることなどできない!戦うのだ!モパンから全ての人を!」


「うぉぉぉぉぉぉ!」


 本隊長のゼコウの叫びに、ホニャイヤダの団員は各々共鳴する。


「では我らの名を叫べ!我らは武力を行使せずに平和を求める反ホニャ国組織!その名は!?」


「「ホニャイヤダぁ!」」

 


 決起集会から数時間後。


「フミネ、ついに日本でも被害が出てしまったな……」


「えぇ、私の力でも全く感知できなかったわ。恐らく私たちの知らない所でも、さらに彼らの被害が広がっているわ……」


「それでも君のおかげで早期に情報を掴み日本に来ることが出来た。君は君の出来る限りの仕事をしてくれた。ありがとう」


「そんな……。それよりこれからどうするのゼコウ?」


「あぁ、恐らく奴らはホニャ国と同じように政府に取り入り好き勝手に暴れるはずだ。しかし、奴らの情報は事前に把握できない。そのため、現在最も被害報告が多いT市を中心に広範囲に団員を展開して奴らが動いた時、即座に対応出来るようにする。君にはこれまでと同じように日常生活に溶け込み、団員たちとの情報共有と指示伝達を任せたい。これ以上に負担が大きくなるが出来るか?」


「ふふふ……私を誰だと思っているの?世界一の諜報屋、情報のプロよ。任せなさい!」


「ありがとう!だが無理はするな?危ないと思ったらすぐに逃げるんだぞ?」


「わかってるわ。それじゃこれから出勤だからまたね」


「あぁ行ってらっしゃい」


「っ!……え、えぇ行ってくるわ!」


 ――たく、あいつは昔から無自覚にあれなんだから……。それにしても、私はこのままでいいのかしら……。



 しかしその後、彼らの努力も虚しく、モパンを止める事は出来ずにいた……。


 ――くそっ!……また誰かが奴らの被害に遭うのを止められなかった……。俺は、俺は!……。


 また誰かを守る事が出来なかった事に憤りを覚えるゼコウ。そんな時本拠地のサイレンが鳴り響く。


「っ!?どうした?何があった!?」


「ゼコウ本隊長!奴らが……奴らが正面から防衛ラインを突破!こちらにやって来ます!」


「奴ら?……まさか!?」


 その瞬間、隊員が目の前で気を失う。そして奥からゆっくりと何者かが歩いてこちらに来る。


 彼らは落ち着いた様子でゼコウの目の前で止まる。そして……。


「やぁ久しぶりだね~。ワン・ゼンコウ君。いや、今はゼコウ君か~」


 ゼコウは怒りで全身が震える。そして、気付いた時には体が動いていた。


「モパンッ!」


 叫ぶと同時にゼコウは腰に携えた剣を振り抜く。そしてその刃が彼らを切り裂こうと触れる瞬間、刃は粉のように地面に崩れ落ちる。


「なに!?」


「貴様の刃は我らには届かん。俺がいる限り……」


 そう言うとイゴエは手に持った棒状の物をしまった。


「な……」


 ――い、いつの間に……。それより俺は……。


「ゼコウ、我らは今日貴様と争いに来た訳ではない」


「なんだと!?何が目的だ!」


 ゼコウの声にジダイは笑い出す。


「僕たちはね~、今日、君たちとゲームをしに来たんだよ~?」


 意外な言葉にゼコウは一瞬困惑する。そんな彼に間髪を入れずアルパが話し出す。


「貴様らが我らを止めようとしていることはわかっている。しかし、貴様らでは我らを止める事は出来ない」


「うるさい!それでも俺たちはお前らを止めて見せる!」


「ふん。思いだけでは我らを止められんぞ?」


「くっ……」


「そんな貴様らに我らを止めるチャンスをやろう」


「どういうことだ!?」


「これより我々が動く時、貴様らに事前に予告状を渡してやろう。今日から2か月後、7月5日までに我らを止めてみろ。もし止める事が出来たのなら我らは潔く地球から離れよう。しかし、止める事が出来なければ、その時は貴様らを敵と認識して完全に排除する」


「そんな事をしてお前らにどんなメリットがあるんだ!?第一お前らの言葉など信じられるものか!」


「はっはは~。やっぱ君って面白いよね~!」


「な、なにぃ……」


「メリット……そんなもの面白いからに決まってるじゃん!いいかい、君たちと僕たちは対等ではないんだよ。信じるも信じないも君の勝手だけど、あとで後悔だけはしないようにね~」


「なっ!面白いからだと!?……」


「あぁ、それ以上に意味はない。では、要件は以上だ。せいぜい面白くしてくれたまえ」


「ま、待て……」


 そうゼコウが言おうとした時に、彼の意識は途切れる。


 そして、数時間後。


「……っ!」


 意識を取り戻し、すぐに周りを確認するがモパンは何処にもいなかった。そして彼は思い出す。彼らを前に怒りに身を任せて剣を振るった事を。


 ――俺は奴らを切ろうとした……。でもそれは奴らと同じ、自身の目的の為なら誰かを傷つける事を厭わないという事だ。くそ……、俺は……。




「はぁ~やっぱりゼコウ君は面白いねぇ~。これでより面白い映像が撮れるねぇ~」


「あぁ、奴には我らの企画の演者として存分に動いてもらおう」


「次はどうする……?」


「そうだね~こんなのはどうかな~?」


「ほう、面白い。早速準備開始だ」


「「了解!」」


 それから数日後、2025年5月13日。


 施設周辺を警戒している団員が何かを見つける。


「ん、なんだ?……あ……」



 同時刻、本拠地内。


「つまりだ、奴らは人に危害を加えることをただ面白いと思ってやっている。こんな事、許せるはずがない!」


「えぇ、絶対に彼らを止めないと……」


 ゼコウとフミネが彼らについて議論をしている所に団員がやって来る。


「なんだ、パイロ。お前は周辺警戒のはずだろ?」


 そういってゼコウがパイロに近づこうとした時、フミネが呼び止める。


「待ってゼコウ。彼、何かおかしいわ」


「なに……」


 そしてパイロは語りだす。


「……2025年5月14日。11時から3時間。T市、神輿通りにて宇宙船でアブダクションを行う。どんな手を使っても構わん。我らを止めてみろ……」


 そう言い終わるとパイロは倒れる。そしてすぐに目を覚ました。


「……あれ?俺なんでここにいるんすか?」


「パイロ。貴方はさっき……あ、外で気を失って運ばれてきたのよ。……そう!熱中症ね、きっと!5月でも水分補給は欠かさないようにね?」


「え?そうだったんですか!?フミネ副隊長、ご教示いただきありがとうございました!ゼコウ本隊長、フミネ副隊長、失礼します!」


 そう言うと彼は走って持ち場に戻った。


「フミネ、ありがとう。これで彼に不要な心労を与えずに済む」


 ――即興なのにすぐに言葉が出て凄いな……。さすがフミネだ……。


「構わないわ、嘘は得意だから」


 ――上手く言えたのかしら?特訓した甲斐があったわね……。


「それよりさっきのは……」 


「あぁ例の予告状って奴だろう。我が団員をあんな風にするとは……許せん!」


「そうね、でも怒っている時間はないわよ。早速緊急会議を開始しましょう」


「……そうだな、ありがとう」



 そして2025年5月14日。10時30分。T市神輿通り。


「ゼコウ、各員配置に着いたわよ」


「了解した。フミネ、音声を全体共有してくれ」


「わかったわ、どうぞ……」


「諸君、ゼコウだ。今日、奴らモパンは確実にこのT市の神輿通りでアブダクション、つまり誘拐と行う。被害者が誘拐後何をされるかわからない。武力を行使することなく絶対に阻止せよ!」


「「了解!」」


「しかし危険な場合は必ず退避を優先せよ!」


「「了解!」」


「よし、作戦開始!」



「始まったね~。彼ら言われた通りに来ているよ!偉いや~」


「そうだな。それでは今日のドッキリを再確認しよう。ジダイ頼む」


「了解!今日は複数で居る人間をターゲットに誘拐した人間の生体調査を兼ねて、もし目の前で誰かが謎の光に包まれて誘拐されたらどんな反応をするのかドッキリを行いま~す!いつもなら関わった人間の記憶を消すけど今回はその後の反応なども見たいからあえて記憶は消さないようにするよ~。ただし、その時の事を誰かに言おうとした瞬間に記憶が消えるように調整しとくから、どんな展開になるのか見どころだね!また、今回から僕らの邪魔をするホニャイヤダって奴らが出てくるからそいつ等との攻防も面白いと思うよ~」


「実に面白い……」


「いい感じだな。……時間だ。アブダクションドッキリスタートだ!」



 そして彼らは宇宙船を完全ステルス化させて、上空からターゲットになる人類を探す。


「ねぇ!あそこの公園になんだか女性の人だかりが出来てるよ~!どう!?」


「いや、あれはダメだ。あんな正気じゃない奴らをアブダクションしても面白くない」


「えぇ~、じゃあその隣の男は~?」


「ん?あいつか。そうだなぁ、い……」


 ――失せな!餓鬼どもが……。


「へっ!?……あ、あれもダメだ!」


「えぇ~なんでさ~」


「ダメなものはダメだ。他探すぞ」


「アルパは厳しいなぁ~」


 ――いやいや、あんな奴アブダクション出来んわ……。だってあの男、背後から体が透けている老婆が睨んでたぞ……。


「ここは良いターゲットがいない。他を当たろう。イゴエ、すぐに発進してくれ!」


「了解……」



 一方その頃、ホニャイヤダ本拠地。


「発見報告は無しか……」


「えぇ……視認はおろか、私たちの最新鋭のレーダーでさえ捉えられないとはね……」


「くそっ、天候もどんどん悪くなっている……これでは物を見る事すらできない!」


 ゼコウは、自身への怒りで机に拳を振り下ろす。


 ゼコウの拳の衝撃でコップが倒れ、水が零れる。


「ちょっと、ゼコウ!また誰かを守れないかもしれない。そう思うと自分に怒りたくなる気持ちはわかるわ。でもね、貴方が冷静でいないと皆が混乱するわ。落ち着きなさい」


「……あぁ、すまない。感情的になっていた」


「そうよ?おかげで机の上がびしょびしょだわ。机の上、拭きなさいよ?冷静になるわよ」


 ゼコウは言われた通り机の上の水を拭き始める。やっていると確かに心が落ち着いてくる。


 ――感情的になるのは俺の悪い癖だな、改善すべきだ……。うわ、気付いたらテーブルの裏まで水が垂れてるじゃないか……。水は流動性があるから零すと面倒だなぁ……。流動性?……。


「そうか!わかったぞ!」


 いきなり立ち上がり叫ぶゼコウ。


「ひゃ!?何よいきなり?」


「わかったんだ、宇宙船を見つける方法が!」


「え?どうやって!?」


「それは……」

 


 時は流れてモパン宇宙船内。


「なんだか、視界が悪くなってきたよ~。これって雨は雨でも大雨ってやつじゃない~?」


「珍しいものを見られた……」


「そんな事はどうでもいい。悪天候で人も少なくなっている。お前ら、ターゲットを探すんだ!」


「あいよ~。あ!あの人達はどう?夫婦ってやつだよね~?」


「ほう、悪くない。もう、あれにしよう」


「わかった~。じゃあ、僕とイゴエで捕まえてくるね~」


「頼むぞ」


「でもこのまま降りて行ったら面白くないから、あの格好をしようよ~!」


「あの、日本人が大好きなあれか……」


「そう、あれ!じゃあ変身するよ~!へ~んしん!」



 そして、彼らはターゲットの夫婦の上にゆっくりと移動する。


「ねぇ、貴方。今日は雨が激しいですわねぇ」


「そうだねぇ。これは君へ向けた愛情の強さを表しているようだよ」


「……別に上手くもなんともないわよ、それ」


「えぇ……そうですかい……」


「それにしてもこんな時期にこんな土砂降りだなんてねぇ……ってあれ?ねぇ貴方何か変よ……」


「ん……どうしたんだい……」


「私たちのいる周りだけ……雨降ってないのよ!」


 その言葉で男性も気付き傘を下ろして空を見る。


「でも、空には何もないぞ!?どうなっているんだ!」


 彼らが異変に気付いたその時、いきなり空に謎の物体が現れて不思議な光が彼らに降り注ぐ。驚いて光から離れると、そこに謎の物体からの光と共に何者かがゆっくりと降りてくる。


「え、え……」


 あまりの恐怖に彼らはその場から動くことが出来ない。


「ど、どうなってんだ!なんで、なんで!?」


 そして降り立った姿を見て愕然とする。それもそのはず、彼らの怪しく発光する大きな目、V字の頭頂部、カニのような大きなハサミ。そんな現実に存在するはずのない者がそこにいる。


「ボルタン星人だぁ!」


「きゃぁ!」


「ファ~ファッファッファ~」


 ボルタン星人達は特徴的な声を上げながら大きなハサミを彼らに向ける。その瞬間、ハサミから赤い光線が放たれる。


「あぶない!」


 その声と共にホニャイヤダ隊員達が現れて赤い光線から男女を避ける。


「隊長、データ通り目標地点で襲われる男女を発見、保護しました!しかし目標が報告と違います!相手はボルタン星人です!」


 思わぬ相手に混乱した様子の部隊長の声にゼコウは叫ぶ。


「バカやろう!そいつがモパンだ!奴は宇宙人、混乱させるための作戦だ!気を抜くな!様子を見て男女を連れて撤退せよ!」


「了解!各員撤退準備!」


 そしてホニャイヤダ隊員一人が煙幕を使用、その場からの撤退を開始する。現場から動こうとしたその時、赤い閃光が四方から通り過ぎていく。


「うわぁ!」


「なんだ!何が起こった!」


 混乱の中激しい風が吹き、煙が晴れる。


「ど、どうして……」


 辺りを見回すと、そこには10体以上のボルタン星人が彼らを囲んでいた。そして一人の隊員を除いて男女と他の隊員たちは時が止まっているかのように動かない。


「おい、ダイ!ヌッド!ゲン!……うそだろ……や、やめろぉ!」


 部隊長の悲痛な叫びがその場に響き、赤い閃光が彼を貫く。


「おい、アルファ隊どうした!?」


 状況確認のゼコウの声は彼らには届かなかった。そして無線から声が聞こえる。 


「ファ~ファッファッファ~。君たちの作戦は失敗だよ。僕たちを見つけられたのは凄いけど止める事は出来なかったね~」


「貴様ぁ!」


「うるさいなぁゼコウ君~。それじゃ男性だけアブダクションするね。あ、ちゃんと後で返すからさ。次は頑張ってね、じゃあね~」


 そこで音声は切れた。


「……」


 ゼコウは激怒した。

 


 その後、現場では時が止まったような状態の女性と彼女を守るようにかばう隊員達4名の姿があった。彼らを検査したところ生命維持には何も問題はないが、なぜか意識も体も動かない状態であることが分かった。


 なすすべのない状態の彼らを見てゼコウは自分を責めた。


 ――俺はまた守れなかったのか。モパンの標的にされた人も、仲間すら……。

 そんな自責の念に駆られるゼコウの耳に警報の音が入って来る。


「なんだ!どうした!」


「謎の男性が一人こちらにやって来ます!」


「なにぃ!」


 驚く彼らの前に、その男性が無表情で団員たちを押しのけながらやって来る。そして、医務室で固まっている仲間や被害者の女性を見つけると立ち止まる。その瞬間、糸が切れたかのように床に崩れ落ちると、いきなり声を上げる。


「うわぁ!……あれ?ここ何処だ?」


 その声に反応するかのように医務室の固まっていた団員や女性も声を上げて起き上がる。


「へぇ!?」


 全員が今起きている現象に混乱していた。



 その混乱が落ち着いた後に団員から謎の男性は被害女性と一緒にいた人物である事が分かり、二人に襲われた時の状況を確認したが彼らは何も覚えていなかった。いや、正確には言えなかった。彼らに状況を確認した際は答えるまで恐怖の記憶を思い出して震えていたが、答えようとした瞬間に一瞬時が止まったかのように体が固まり、次には当時の記憶もなぜここにいるのかすらわからなくなっていた。


 その後、二人を送り届けた後、各部隊長を集め当時の状況を共有した。


「本隊長、以上が当時の状況です」 


 その報告を聞いた部隊長たちは無力感に包まれていた。


「そんなの、どう対策すればいいんだ……」


「めちゃくちゃだ……」



 本拠地に暗い空気が流れる数時間前、T市神輿通りにて。


「いやぁ~今回も最高だったね~」


「ジダイの変身というアイディアがドッキリをさらに面白くさせたな。よくやった」


「えへへ~まぁね。日本の文化を学んでおいてよかったよ~!」


「だがゼコウ達はどうやって我らを見つけたのだ……」


「恐らくだが、この暴風雨と言ったやつを利用したのだろう。我らのこの船は他から捕捉されないように視認不可、レーダー捕捉も不可の完璧なステルスだが、雨や風などの影響は受けている。そのため雨風の流れを全て把握したときに異常な流れがある場所を探せば我らを捕捉できると言う訳だ」


「あぁ~そっかぁ~。やるねぇ~地球人!」


「なかなか歯ごたえのある奴だ……」


「そうだな。そうでなければ面白くないからな」


「また、楽しませてくれそうだね~ってあ!あれ見て!」


「どうした?」


 彼らの視線の先には以前部屋が爆破されたのに笑っていた日本人が空を飛んでいた。


「奴は……あの時の頭のおかしい奴だ……」


「しかし、なぜ空を飛んでいるんだ!?」


「なんか、奇跡的に発生したトルネードに巻き上げられたみたいだよ!?……あ、落ちた。痛そう……」


「不運な奴だ……」


「あ、起き上がった!……え、あいつ笑ってるよ!?」


「なに!?そんなことありえるわけがない!どんな神経しているんだ!」


「ねぇ、あの子、アブダクションしようよ!今までのドッキリのターゲットとは様子がおかしいし……」


「そうだなぁ……。間違いなく何か変な感じがする……」


 その瞬間、またアルパにだけ声が聞こえる。


 ――おい、学習しないのかい……あんたら。……消されたいのかい?


「近くにいる子も一緒にさぁ~ってあれあの子……」


「イゴエ、直ちにここから離れろ!」


「ん?……了解した……」


 急発進でその場を離れるモパン達。


「なんだよアルパ!急にさ~」


「今日のドッキリはもう終わっている。ゼコウにはもう終わったと言ったのだろう。ならこれ以上は出来ない」


「あ~そっか~」


「ちなみに次回のドッキリのアイディアはあるのかジダイ?」


「そうだねぇ~。あ、こんなのはどう?自転車っていう乗り物を地球人は使ってるんだけど、それの座るところをブロッコリーっていう植物とすり替える悪戯が彼らの中で流行っているらしいんだよ。それに僕らも乗っかってさ、ある日市内全ての自転車の座るところが変わっていたら彼らはどうするのかドッキリ!ってのはどう?」


「ん~面白いな、それでいこう」


「やったぁ~」


 そして彼らはその場を後にした。


 これにて第9話、おしまい。

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