第51話 これはデート?

昨日のシズカさんとの個人戦を経て、今日の放課後はシズカさんとの闇魔法の研鑽日だ。でも昨日はあんなことになってしまったので、シズカさん来てくれるかなって思ってたけど、無用の心配だったようだ。


「ふふふ、アキラ君。勝負は私の勝ちだったわね。」


あれ?むしろなんか上機嫌だ。

なんで?


「デートの件だけど……」


「ハイ、試合に負けましたのでそれは潔く取り下げます。私が身の程知らずでした。」


「いや、そうじゃなくてね。今のこの私たちの状態ってデートみたいなものじゃないのかなって思ったの。ほら、世の中にはお家デートとか図書館デートとか色々なデートがあるでしょ?2人きりで魔法研究なんだから、これも立派なデートだと思うんだけど、どうかしら?」


と、シズカさんは頬を少し染めて(本当はそうではないが、アキラアイにはそう見えた)、アキラに何かを期待するかのように少し上目遣い(これまた事実とは異なるが、アキラにはそう見えた)で、アキラにそう告げた。


――むっふー!


アキラの気力が漲ってキターーー!

僕はシズカさんに食いつくように聞いた。


「ということは、毎週シズカさんは僕をデートに誘っていたと!」


「なんでそうなるのよ!そうじゃないでしょ?元々はアキラ君が一緒に闇魔法を研究して欲しいって、私に頼んだんでしょうが。」


「あっ、そうだった。」


「まったく、もう。どうしてそこを忘れられるのよ。」


「すいません。でも、どうして今日は機嫌良さそうなの?昨日僕が強引にデートに誘ったから、ちょっと機嫌悪くさせたかなって思ってたくらいなんだけど。」


「ああ、それはね。アキラ君との戦いで闇魔法との戦いが悪くない結果だったからよ。アキラ君の闇魔法って基礎的な闇の矢じゃないでしょ。アキラ君は気絶してたから知らないでしょうけど、すごい威力で倒れる寸前だったけど、一応研究の成果があって、ギリギリ耐えられたのよ。アキラ君との共同研究がなかったら絶対無理だったと思うわ。これでもし魔族と戦闘があったとしても、有利とはいわないまでも手も足も出ずにやられるということはないと思うわ。ありがとう、アキラ君。嬉しいわ。自分の研究が見える形で成果になったんだから、それは嬉しいに決まってるじゃない!」


……めっちゃ饒舌なシズカさん、初めて見たわ。口を挟む暇が全くないんだけど。

オタクが興味ある話になるとすごい饒舌になるってこれかぁ。

まぁでも嬉しそうだからいいか。

なおも続くシズカさんのマシンガントークを僕は生暖かい目で見続けた。

しばらくして、やっと勢いがやんだシズカさんに向かって僕は尋ねた。


「これもまた現在進行形でデート中ってことだよね?」


「ま、まぁそうだけど。」


「じゃあ、手を繋いでもいい?」


「……手を繋いだら、魔法の研鑽ができないじゃない。」


今のシズカさんのマシンガントークだって、魔法の研鑽とはあまり関係がなかったようなと思ったけど、賢明な僕はそれには触れなかった。


「じゃあ、邪魔にならない範囲内だったら、良いと?じゃあ、今左手だけ繋ぎましょう。」


「あ、ちょっと。アキラ君、勝負に負けたのにちょっと調子に乗り過ぎよ!?」


「良いじゃないですか。はい」


僕はシズカさんと手を繋いだ。それはもうがっちりと。いわゆる恋人つなぎだ。

シズカさんは僕から顔を背けてしまったが、そのシズカさんの耳が赤いのは、気のせいでもアキラアイの特殊効果でもなく、本当に赤いのがバッチリわかった。


「シズカさんの手、柔らかいですね」


「バカ、そういうのは言わなくていいの!」


シズカさんの耳がさらに赤くなったのは気のせいじゃない。

僕はちょっと嬉しくなってさらに調子に乗ってからかったら、顔が真っ赤なシズカさんに火の矢の魔法でこんがりと燃やされちゃった。


でもよかった。えへへ。

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