妖精と香菜ちゃん

クースケ

第1話 香菜ちゃん

 青木 香菜はいつものように庭で、日向ぼっこをしていた。

 小さな小さな庭だったが、3歳の香菜にとってはとても居心地がよかった。ママが植えた花を見たり土を少しいじったり、仰向けに寝て太陽の光を浴びるのが大好きだった。

 そんな香菜をママは家の中から掃除機をかけながら、時には昼食の支度をしながら見守る。


 夜遅くパパが仕事から帰るといつもの話題が出てくる。


「香菜を見ると辛くなるの」


「また、その話かい」


「だって私はあなたと違って、いつも香菜に接しているのよ」


「保健センターで、相談したんだろう。少し一般的な子と比べると遅れ気味だけど大丈夫だって言われたんだろ」


「でも、貴方だって思っているでしょ。まったく喋れないし、自分のこともろくにできないし、話をしても通じていないみたいだし3歳の他の子と比べるとまったく‥」


「だけど、いくら俺たちが悩んだって、俺達には何もできないだろう。気長に接していくしかない」


「あなたは、いいわよね。仕事だけしてればいいんだから」


「それはないだろう。俺だって、香菜のことは可愛いんだ」

 そういつものように、言い争った後は、不貞腐れたように各々が1つのベットに香菜を真ん中に挟んで寝る。

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