第43話 終わりにしたい
僕は彼女の命まで奪った。
どうやら僕は悪者らしい。
急に襲わたれので「これは正当防衛だ」と思っていたのに。
もう全部終わりにしたい。
昼下がりの空に春を感じる風が吹く。
一人ぼっちの雲が空を泳いでいく。
あの雲もいつか雨になり降り注ぐのだろうか。
僕はもう十分だ。
十分この世界を楽しんだ。
人のモノで自由に生きて、森の中で自由に暮らして。
もう、いいや。
死にたい。
ナタを手に取り、左の手首に当てる。
でも何故か動かせない。
これならさっき殺されておけばよかった。
視界の端で何かが動く。
狸か?
視線を上げる。
山野さんがこちらを見ている。
生きてたのか。
ほぼ死んでいたのに意識を回復するとは。
太陽が冷えた体を温めたのだろうか。
それにしてもすごい生命力だ。
近寄って声を掛ける。
「生きてたんだな」
山野は口を動かそうとするが、まだ力が入らないようだ。
また申し訳ない気持ちがこみ上げ、布団を用意して山野の体を移動させる。
畑の近くで布団に入っている不思議な光景だ。
まだ暫く日は高い。
「お前、山野だろ?」
そう聞いてみると小さく反応したが、肯定か否定か分からない。
まあ、そんなことはどうでもいい。
元気になったら帰るか、僕を殺してくれるならそれでいい。
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