第23話 廃村
電車で県境を超えて長距離移動し、バスで田舎街まで来た。
鎌田には嘘をついた。
更生保護会には行かない。
僕に人生をやり直す熱意はない。
かと言って人生を終わらせる勇気もない。
死ぬまで平和に生きていたい。
バスはホームセンターの近くで降り、リアカーを購入し、必要な食品や道具をたんまりと買った。
特に重要な塩、野菜の種や苗、農具、肥料のもとになるコンポスト促進剤は沢山買った。
他にも丈夫な飯ごう、ナイフ、斧、砥石、縄、ファイヤースターターなどのキャンプ用品も集めた。
そう、僕は山奥で静かに自給自足で生きることにしたのだ。
日本には各地の山奥に廃村がある。
僕がまだ空き巣で生活をしていた頃、衛星画像を利用して廃村を探した時期がある。
その頃はただ暇で見ただけであるが、刑期満了が近づく中で将来を考えていたとき、この県の山間部には廃村が多かったと思い出したのだ。
そこで畑を耕してゆっくり生きるのだ。
廃村は山奥の山奥、街との行き来が難しい場所にある。
ここから歩いて3時間以上かかるだろう。
重たいリアカーを押すので1日かかるかもしれない。
目指す廃村は人里から遠く離れ、車道も整備されていない場所だ。僕が投獄される前から既に廃村で、持ち主も不明になったであろう場所がいい。
そういう場所は生きていくための環境整備に多大な労力を割かないといけないが、時間ならいくらでもある。お金もいくらかある。
しかし、山奥というのは電線や電波塔の管理のために人が入ることもある。終の住処を探すにあたっては鉄塔の位置を見て、絶対に人が来ない山を選ばないといけない。
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