第12話 最低だ。

「そこでだよ、悟志は静かだけど、ツッコミはキレキレで皆が一目置いてるみたいな、そんな感じだったんだよね。そいつが急に「こっちだ。ついて来て」って言いだして」

「おお、カッコイイじゃん」

「いやぁ、シビれたよ。大人に見えたね」

「それで帰れたの?」

「いや、来た道とは違ったんだけど、広い道には出れたんだよね」

「違ったらダメじゃん」

「いや、あいつが凄かったのはそこからだよ。悟志は信号待ちしてる車から道を聞いてきて、途中でコンビニに寄ってポケットから500円玉を出して水をみんなに配ったんだ。」

「ほんとに小学生?」

「「俺たち一生お前に付いていくぜ」ってなったよね。あのときの感動は今も忘れないよ」

「そんな子がいたんだね」

「そうなんだよ、すごいやつだったんだよ。久しぶりに思い出したけど、また会いたいな」

「きっと会えるよ」

「そうだね、そんな気がしてきた」


 それからは健太の大学までの思い出話が続いた。



 ずっと聞いていると、

「俺はこんな生活してるのにな」

 そんな言葉が浮かんだ。

「子供が死んだから釣り合いが取れてるのかな」

 全く思ってないヒドい言葉が次々と頭に浮かんでくる。



 最低だ。俺は最低だ。

 健太は僕の幸せを願ってくれているのに、僕は彼の幸せを妬んでいる。最低な人間だ。

 空き巣を繰り返して、他人の努力を掠め取って生きている。本当に、最低だ。

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