双頭の神 Two-headed god (改訂版)

三上芳紀(みかみよしき)

序章

僕は大学に行かなくなった。夏休みが明け、地元に帰省していた学生は、二カ月ぶりにキャンパスに足を踏み入れ、新鮮な気分を味わっていた。そこに僕はいなかった。

「杉原って病気にでもなったのか?」

大学では、こんな会話が交わされていたらしい。心配してくれた友人には申し訳ないが、僕は病気ではなかった。心は少し病んでいるかもしれない。でも、今時、心を病んでいない人などいない。体はいたって元気だ。だから、病欠ではない。

夏休みの間に、僕はある宗教に出会った。僕はその宗教に入信した。

これから、ここに記すことは僕の宗教体験記だ。現在進行形のことだから、結末はどうなるか僕にも分からない。現在進行形の、『僕の宗教ダイアリー』。申し訳ないけれど、今のところ、それしか言えない。

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