第16話ー① 告白と…デート…

【あいも変わらず…スタービックス伊勢佐木町店】


「あっ!パパ〜」

「あっ!おとうさま〜」

「あっ!せんせ〜い」

「よっ!親友三月くん!」

八月はづきちゃんのお迎えご苦労さまです…三月くん」


「…」


馴染みのこの店に出迎えの人数が増えた…

そして…


「早見さん、お仕事お疲れ様です!」


…実はもう一人…常連客沙織さんが増えていた。



年甲斐のないカーチェイスもそれなりに効果があったというか…八木沙織やぎさおりさんの持ち帰りレイプ未遂事件は、首謀者の逮捕という形にて幕を閉じた。

…それは良かったんだけどね。


匿う形で一緒に暮らしていた秀美と沙織さん…ほんの数日なのだけど二人は意気投合してしまった。


どうもこのままルームシェアを本格的に進めるみたいで、沙織さんは仕事が終わるとこの店で閉店まで秀美の帰りを待つことが多いらしい。


「…沙織さん…婚約者が交通事故で亡くなってるんだって…」


秀美の話によると、どうもお互い元カレの話で盛り上がっているみたいなんだけど…お秀美…変なこと沙織さんに吹き込んでいないよな!?



https://kakuyomu.jp/users/kansou001/news/16818792436662305690


「…ずっと前から好きでしたっ!俺と付き合って下さい!」

「…うん…即、記憶から抹消するからさ、その告白は少なくとも1年間保留!」

「え〜」


神奈川県立横浜光が丘高等学校…A校舎の南階段の屋上への扉の鍵はぶっ壊れたままで…この学校の告白スポットとして名高い。

…名高すぎて重複事故告白受けてたら他の奴らが来たまで経験のある八月としては、「あんた…もう少し考えて仕掛けろよ!」と健吾告白人に言いたい。

…そもそも!


「…ねえ…健吾。…あんた、状況分かって言ってんの?」

「おはづきへの告白が、先週の霧島先輩サッカー部のキャプテンので20人を超えた。もう一刻の猶予もないと思いましたっ!」

「それ以前のあたしたちの関係性の話だよっ!」

「…入学式のお前の代表挨拶に俺が一目惚れした。生徒会にも軽音楽部にも追っかけた。俺は超頑張ったと思っている」

「うん、それであたしたちの隣には常に誰がいるのかな?」

「…(汗)」


彼の名前は「羽島健吾はじまけんご」。あたしと同じ一年生で、あたしと同じ生徒会庶務で、あたしと同じバンドでサイドギターのあたしの隣でリードギターを弾いていたりする。

https://kakuyomu.jp/users/kansou001/news/16818792435861724170


そして…生徒会では書紀、バンドではあたし達の横でシンセサイザーを操っているのが…。


「あんたの隣には、超ハイスペックメンヘラ幼馴染真奈美がいるでしょうが!」


すんごく分かりやすい、健吾の追っかけ…真奈美は健吾の幼馴染。

幼馴染は必ず結ばれると思っている恐ろしいやつ。

だが、学年5番以内をキープできる頭の良さと想像の斜め右の行動力で、健吾があたしを追って生徒会に入れば生徒会に…軽音に入ればあたしとバンドを組んでいたりする。

健吾はいい奴だと思うし、フリーの今、友達としてくらいなら付き合ってやっても良いのだけど。


「あたしは、あのメンヘラ女を向こうに回してあんたとステディになろうと思うほどあんたに惚れてないの!…別に付き合うのは良いけどさ」

「えっ…俺と付き合うのは良いの?」

「友達としてなら別に良いよ。でもそれって今とそんなに変わんないじゃん」

「や…やった〜」

「だから…それなら今と変わんないじゃん。だからこの告白は無かったことに…」


「…フッフッフッフ〜」

「うわあ〜」

「きゃあ〜」


だからっ!…こんな有名告白ポイントなんか選んじゃ駄目なんだよ!


「ま…ま…真奈美!?」

「聞いちゃったわ〜あなたたち、いよいよ付き合うのね〜」


野生のメンヘラ女が出現した。

メンヘラ女は笑っている!!


「出たな真奈美!…そうだ!…いよいよ俺にも愛する彼女が…」

「…友達ね…取り違えるんじゃないわよ!」

「ぐふあああ〜」


「あら…わたしは別に反対しませんわよ?」

「…へ?」

「…へ?」


…メンヘラ女が笑い続けている…何考えてるのか…分かんない!!



「…びっくりしましたわね。先般の土下座事件…」

「…あれはさすがに営業妨害だよなあ…秀美店長も引き攣ってたし…」

「…いえ…営業妨害と言えば、それを受けたおとうさまの言動のほうが…」


とうとうだ…俺の宝物双子に虫が付いてきた…

いつものように、むつきと一緒にバイト先のはづきを迎えに行った俺は…変な男女健吾と真奈美の土下座攻撃に遭遇した。


「はづきさんを俺に下さい!」

「…死ね!…このガキャあ!!…いでいでいで…痛いって南ちゃん!」


たまたまそばにいた南ちゃんが俺を合気道で取り押さえてくれなかったらそのガキの生命は無かったというギリギリの状況下で


「はづきさんの男友達になるの許して下さい!」

「あたしの婚約者健吾がお嬢様はづきの男友達になるのを許してやって下さい!」

「ばっか!俺はお真奈美の婚約者になった覚えはない…痛ってえ!…は…はづきっ、なんで殴るんだよう」

「うっせえ…黙れ!…パパごめん、この馬鹿健吾と友達やってよいかな…」

「…」



「…なあ、むつき、友達ってさ…親の許可のいるものなの?」

「…さあ…思考が斜め右過ぎて、わたくしには良く分からないのですけど…」


改めて…俺は助手席のむつきにお伺いをたてる。

今日は、はづきとくだんの健吾くんの初デート…ただし真奈美ちゃんの出歯亀付きとのことで…脱力した俺に「たまにはむ〜ねえと二人で出掛けてみたら?」というはづきの勧めに従って…俺達はドライブをしていた。


「…まあ、あの子…「健吾くん」?…わたくしは気に入りましたが」

「ええ〜、お前まで認めるくらい良い男なの?あいつ」

「そういう意味ではなくて…あの子初対面でわたくしにこう言ったのですよ…『へえ…双子と伺ってましたが…あまり似ていない姉妹なんですね』と。…わたくしたちを区別して認識してくれる殿方は少ないので…」


…そうかもしれない…早見家の双子の美人姉妹の評判は…名高かった…良くも悪くもだけど。

…でも俺には…

文ねえの可愛い…あどけない部分を引継いだのが八月はづき、そして純粋で透明な美しさを引き継いだのが一月むつき

https://kakuyomu.jp/users/kansou001/news/16818792436348469098


…まあ、見てくれの話ね…性格はまた別…



「…で?さっきも聞いたけど今日のデートの行き先は…」

「…はい…寸分違わず一緒にして下さい」

「…」


「先週…おとうさまが沙織さんとご一緒されたそれと…一緒のコースを回りたいのです」


先週、俺は沙織さんと二人…ドライブデートに出ていたんだ。

https://kakuyomu.jp/users/kansou001/news/16818792436787224883


「むつきにはつまんないかも知れないぞ?」

「それでも…」

「…分かった」


俺は鉄仮面を首都高環状線に向けた。


「それでは最初は深大寺だ」

「…え」


「墓参りだよ」






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