第2話
真冬の雪が降り積もる夜。
終電の為にダッシュで駅まで向かい、ひと通りの少ない階段を登ろうとして、足を滑らせて中間の踊り場からすっ転んだのがきっかけだったように思う。
その日は朝から大雪で、残雪に気づかず走っていた私が馬鹿だった。
新しく買ったコートはお釈迦。
連日の仕事に疲れ果て、睡魔は限界。
加えて終電を逃し人通りも少なくなると一気にやる気が消え失せるのはもはや必然で、自傷気味に一人、「はは、」と乾いた笑い声が溢れる。
「……割と痛いな、これ」
正直、起き上がるのが面倒くさかった。
だんだん背中から滲んでいく溶けた雪がやけに冷たくて、もうこのままでいいかなぁ、と考えてしまう自分に、だんだん考えるのもめんどくさくなって来て。
なんか冷たいし、しんどいし、むちゃくちゃ眠いし。
全身が、感覚が、どこもかしこも痛いしだるい。
…なんなら心も、普通に痛い。
「…あーあ、」
いっそのこと、このまま死ねたら楽なんだろうけどな。
人通りが少ないせいで、誰も私に気づかないからこんな状況でも助けてすらくれないし、多分このままここで死んでも朝まで誰も気づかないだろうけど。
本気で死にたいとは思わないけど、無性に死にたくなることはよくあるなんて、人間ってほんとめんどくさい。
相変わらず明日も仕事だし、なんならさっきまで仕事だったし、ここでずっとこんなことしてる訳にはいかないことなんてわかってるけど。
だけど、少しだけ。
少しだけ何も考えずに眠りたい、と。
そうゆっくりと目を瞑った瞬間、カチッと何かが擦れるような音がした。
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