第13話 新しい温もり

 陽菜は気がつくと、悠真と過ごす時間が増えていた。

 カフェでの何気ない会話、ふとした瞬間に交わす視線、そして肩を並べて歩く穏やかな時間。

 以前なら、誰かと長く一緒にいることにどこか不安を感じていたのに、今は違った。


 悠真といると、心がふんわりと温かくなる。

 けれど、それはかつて奏が与えてくれた温もりとは少し違っていた。

 奏の存在は、彼女の痛みをそっと包み込んでくれるものだった。

 けれど、悠真の温もりは、隣にそっと寄り添いながら、彼女自身が前を向くのを支えてくれるようなものだった。


 ある日、陽菜は悠真と並んで歩きながらふと呟いた。


 「ねえ、悠真さん。人って、どうして誰かを好きになるんでしょうね。」


 悠真は少し驚いたように陽菜を見て、ふっと微笑んだ。




 「うーん、難しい質問ですね。

 でも、僕は『誰かといることで自分がもっと好きになれるなら、それはきっといい恋なんじゃないか』って思います。」


 「……自分が、もっと好きになれる恋。」


 陽菜はその言葉を噛み締めるように繰り返した。


 今、彼女の胸の中にある温もりは、依存ではなく、寄り添うものだった。

 そしてそれは、彼女自身が自分を大切にできるようになったからこそ、生まれたものなのかもしれない。


 悠真の横顔をそっと見つめながら、陽菜は小さく微笑んだ。

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