ストルブァンド②

さて、氷水に浸けて翅を毟り、出血が止まったとする。


もしも出血が収まらないようなら、赤く熱した焼き鏝で傷口を撫でるように処置するといい。


直ちにストルブァンドのゼラチン質の皮膚が爛れて、傷口は塞がることになる。


この時間違っても真皮の内側、すなわち神経組織等を傷付けてはならない。


もし傷付けてしまえば、ストルブァンド一生は背中を曲げて暮らす羽目になる。


それは避けよう!


さて妖精飼育の必需品、それは最初に話した通り頑丈な檻である。


ストルブァンドがいくら温厚で飼育に適しているといっても、室内で放し飼いに出来るかと言えばそれは大きな間違いだと認めざるを得ない。


それは例えるならあの狂犬グモルクを放し飼いにする程度には愚かなことである。


なので捕獲する前に、必ず檻を用意しておくの忘れてはならない!


かつて筆者は愚かにも自分を過信したあまりに、ストルブァンドに左の薬指を噛みちぎられた経験がある。


ストルブァンドの口腔内細菌にやられて、その時は三日三晩高熱に魘される羽目になった。


しかし今ではその傷跡も妖精との忘れられない思い出であり、婚約指輪エンゲージリングであると自負するに至っている。


檻に話を戻そう!


材質は金属であるならば何でも構わない。


妖精がすり抜けられない間隔ピッチの檻であれば格子状でなくてもよい。


詳しく後述するが、妖精の中には特殊な金属や特殊な木材でなければ透過してしまうもの存在する。これには特別留意してほしい。


しかしストルブァンドであるならば、頑丈であれば何でもよいのである!


しかし、もしも金銭的に余裕があるならば、檻に電熱線を取り付けることをお勧めする。


これはストルブァンドの躾と調教において、優れた効果を見せるからだ。


次の項からは、ストルブァンドの給餌と躾に関して詳しく説明していくことにする。

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