【KAC20253】魔力が無くて婚約破棄された私は、実は希少な妖精使いでした
温故知新
前編 婚約破棄されました
「フェリーチェ・ブリッツ! 魔力の無い貴様は、我に相応しくない! よって、貴様との婚約を破棄する!!」
学園の卒業パーティーで、質素なドレスに身を包んだ私フェリーチェ・ブリッツは、婚約者でありこの国の王太子であるエリオット・ル・ランスター様から婚約破棄を言い渡された。
――そんな大きな声で言わなくても、私に魔力が無いことは周知の事実なのに。
大陸イチの魔法大国であるランスター王国。
その中で、我がブリッツ公爵家は代々有能な魔法師を輩出する家として有名だった。
その家に生まれた私には魔力が無く、両親は少しだけ落ち込んだが、見放すこともなく愛してくれた。
けれど、その2年後に生まれた妹に膨大な魔力を保有していると分かった瞬間、両親は私を見放して妹を溺愛した。
そのお陰で、私は乳母に育てられ、その乳母が亡くなれば、私は使用人達と同じ生活をすることになった。
そうしないと、食事も洗濯も掃除も誰もしてくれないから。
この婚約だって、妹が学園を卒業するまでの繋ぎでしかなかったのに……どうやら、殿下の方は待てなかったらしい。
在校生は出席していないはずのパーティーに、なぜか出席してるアリアナは、殿下から贈られたであろう豪華なピンクのドレスに身を包んで殿下の隣に寄り添っていた。
そんな妹の肩を抱き、ドヤ顔をしている殿下に溜息が出そうになった時、私にしか見えない羽の生えた小さな妖精たちが私に話しかけた。
――『早くここから出よう』ね。フフッ、そうね。そうしましょう。
私の周りを飛んでいる妖精たちは、乳母が亡くなってしばらく、物陰で泣いていた私に声をかけてくれた私の大切なお友達。
この国では『妖精は架空のもの』だと思われているらしく、言ったところで誰も信じてくれなかった。
だから、この国の人達は妖精たちが本当はどんな存在か知らない。
まぁ、私が言っても『魔力無い奴が世迷言を言っている』とバカにされるだけだけど。
「おい、貴様!! 何を嗤っている! 貴様が虐めていたアリアナが貴様を見て怯えているだろうが!」
「エリオットさまぁ、怖いですぅ~」
白髪のようなプラチナブロンドに赤い瞳の私とは違い、金髪でピンクの瞳のアリアナは可憐で愛らしく顔立ちで、誰に対しても甘え上手なのに貴族令嬢として品行方正の立ち振る舞い。
加えて、全属性の魔法が使える誰もが認める将来有望な未来の魔法師で、我が家の期待の星。
その妹が家に帰れば、鞭を持って私を虐めているなんて、私のことを蔑んだ視線で見つめる人達は思いも寄らないだろう。
すると、妖精たちが『早く早く!』と私を急かす。
思わず苦笑した私は、学園に入学する直前に実母に叩き込まれたカーテシーを披露した。
ちなみに、両親に見放され、使用人と同じ生活をしていた私が学園に通えたのは、単に私が殿下の婚約者だったからだ。
とはいえ、学園に入学する前に私に魔力が無いことは既に広がっていたから、学園に通っている間は、ずっと好奇な目を向けられて居心地が悪かったけど。
「婚約破棄、謹んでお受けいたします」
「フン! それで良いんだ! あと、貴様は此度、我が婚約者であるアリアナに危害を加えた罪で国外追放に処す! これは、王族としての命令だ!」
そう言うと、殿下は近くにいた騎士に命令して、私を会場から追い出すと、ボロ馬車に無理矢理乗せた。
「痛っ!」
腕を痛めた私を無視し、御者は猛スピードで会場を出るとそのまま国境まで走った。
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