第2話 親子

 本日最初のお客様は・・・目の前のショーウィンドウに飾られたプラモデルを欲しがって駄々をこねておる男の子と、その父親じゃな。どれどれ、ゆっくり観察するとしよう。


「嫌だー、これ買ってくれるまで絶対にここを動かないから!」


 小学1年生くらいの子じゃな。こりゃ久しぶりに見たが、道端に寝っ転がって手足をバタバタしておる。わしにも分かるようなブランドの服を着ておるのに、こりゃ凄い。我儘放題に育ったようじゃのう。いつも我儘を言えば、希望通りに親が何でも買い与えていたに違いない。多分一人っ子じゃな。


「いい加減にしないか。早く行くぞ」


 父親の方は、ちいーとばかり人の目を気にして声も控えめに叱っておって、あまり強くは言えんのじゃろう。今日は平日なのに仕事はお休みなんじゃろうか。いや、社長かもしれん。部下に任せて親子水入らずって事かもしれんのう。それにしては、えらくラフな格好じゃ。穴の開いたジーンズにセーター、ジャンバー、靴はちと汚れたスニーカーか。どれもブランド物ではないようじゃなあ。


 ここで、わしの推理開始じゃ!

 多分、今から子供を連れて遊園地かアスレチックなんぞに遊びに行くつもりじゃな。普段はビシッと高級な服装をしておる父親も、子供と一緒に思いっきり遊ぶ事を考えて、あえてラフにしとるに違いない。でも、やはり子供を溺愛しすぎて見えてないんじゃな。肝心の子供にブランド物を着せておるところが、親心という事じゃ。


「わー、絶対に嫌だ!ここから動かないから!」


「少し落ち着けって」


 父親が、男の子の耳元でなんぞ囁いておるようじや。おやっ、急に男の子は静かになり立ち上がった。わしの方をちらりと見て、父親と手をつないで行ってしもうたわい。これはきっと、後で何か買ってやるとでも言われたんじゃな。全く、これではいつまでも我儘な子供のままじゃろうに。たまにはビシッと躾も必要じゃというのに、最近の親は叱ることも出来んのかのう。情け無いことじゃ。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



推理解答編 親子 へ続く


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