第8話 面接

今、僕は領都メイヘンの屋敷を歩いてる。なんでも奥様への挨拶だそうだ。マリア様、コーネフ団長、メイド長、僕が4人で向かっている。


何故一人称が「俺」から「僕」に変わったかって?

それはメイド長に言われたからだよ。


「キース、あなた自分のことを俺と言うのは辞めなさい。」


「なんで?」と聞くとおかしいからだそうだ。

確かに3歳が「俺」はおかしい。


「さぁキース、今から授業の実演です。礼は30度ですよ。」


「はい」


よし、30度、30度。

そうこうしているうちに、いかにもな扉前まできた。そこには執事らしき人が綺麗な所作で、礼をしてきた。


「長旅、大丈夫でしたか?マリア嬢様」


「ええ、問題ないわ。それよりお母様と話したいのだけど。」


「分かりました。」


扉が開けられ4人と執事は中に入った。


キースは机の上で羽ペンを走らせている女性を見た。

あの人が奥様だろう。

マリア様のような青髪、青目で、マリア様とは違い妖麗な美しい女性そこにはいた。

(魔女)

その言葉がしっくりくるような人だ。


「お母様。

私マリア・ガイブはメイヘンに戻って参りました。」


マリア様はしっかりと礼をし、少し遅れて僕たちも礼をした。


「長旅、ご苦労様。疲れていると思うけど、帰りの際何が起きたか話して下さる?」


「はい、お母様」


その後マリア様は行商人のことや僕のこと、そして従者にしたいこともを澱みなく話していった。



「あなたがその子供なのね。

名前は?年齢は?何故従者になろうと思ったのか教えて下さる?」


つまり面接か。


「はい私の名前はキースです。年齢は3歳です。従者になりたい理由は仕事がないからです。お金もなく、親もない3歳に仕事があると思えなかったので、なろうと思いました。」


「では、私が仕事を斡旋したら従者を辞めるの?」


「いえ、辞めません。

私はマリア様や騎士の方々に助けられました。恩を返すのは無理でも、従者として少しでも支えてられるようになりたいからです。」


僕がそう言うと、奥様は少し口角を上げると


「ガイブ辺境伯夫人テレシア・ガイブがキースを従者として認めます。」


「ありがとうございます。」


そうして、僕は従者として正式に認められた。




————————

辺境伯夫人テレシア目線



「団長もご苦労様だったわね。

では、お開きにしましょう。メイド長と執事長は残って頂戴。」


扉が閉まり、私は背もたれに背中を預けた。


「ねぇメイド長、あの子何者なの?」


「もう「鑑定」したんですか?」


「えぇ、すごいよあの子。」


「奥様の「鑑定」って魔力量と高いスキルが5つ分かるのでしたよね。」


「そうよ。でも知らないスキルは分からないわ。」


「それでどうでした?」


メイド長がここまで興味を抱くなんて珍しい。


「まず、魔力量は3万5千ぐらい、スキルに関しては「魔力操作Lv.8」に「精神耐性Lv.7」、「気配察知Lv.7」、「隠密Lv.7」よ。1つは私の知らないスキルね。」


「…………」


メイド長も執事長もう驚いてる。当たり前だ。

スキルは5レベルから上げるのが難しいと言われるのに、全てがレベル7以上。はっきり言って異常だ。


「しかし、「精神耐性Lv.7」ってどうやって取ったのよ。」


私が「鑑定」した中で「精神耐性」はレベル3が最高だった。そもそもレベルが上がる前に精神が狂ってしまう。


「彼は確か両親を自分で埋葬したと言っていました。」


「おそらく、それね。

執事長、ルイをお目付け役にして頂戴。」


「分かりました。奥様」


「あの子は優秀よ。マリアの従者にするために、バレないように監視するわよ。」


「「はい、奥様。」」


はー、なんて爆弾をメイド長は持ってきたのよ…

マリアには悪いけど、しっかりと見定めないと。

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