世界まるごと転生 ─異世界の常識を葬る覚悟です─
幕張の泥岩
728~733年 【人生再出発(リスタート)編】
プロローグ
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これは何回目だろうか。
この雷鳴やまぬ、枯れ果てた大地で膝をついたのは。
これは何回目だろうか。
傍にある、
これは何回目だろうか。
最愛の
これは何回目だろうか。
また自分の力不足に怒りを覚え、無様に殺されるのは。
これは何回目なんだろうか。
誰か、教えてくれ。
その後、一本の稲妻が身体に直撃し俺は焼死した。また彼女を置いて。
~英雄譚:焔誓の騎士の冒頭より抜粋~
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俺は38歳(推定)ライトノベル作家だ。
中学時代の厨二病拗らせ時期に、
アニメの「勇者」や「英雄」《正義のヒーロー》に憧れを抱き、
高校卒業と同時に親と勘当し、上京してきたただの馬鹿だ。
正直上京したての頃は生活にめちゃくちゃ困ってたし、コンビニバイトやら
U〇er E〇tsやらで朝から晩まで働き、夜に執筆活動をする。という過労死が似合いそうなゴミみたいな生活リズムを送っていた。
しかし最近、ネットで投稿していた小説が賞を受賞し
書籍化が決まるという大躍進を果たした。
これだけ頑張ったんだ、これからは楽して金を稼いでやる。
今日はその件の打ち合わせがあり、今は帰宅している最中だった。
「.....やく...ろ!....って......が」
「.....ませ...」
「おい、あ......ぞ」
いつもの帰り道。
いきなり奥の角から、怒鳴り声のようなものが聞こえてくる。
(なんだなんだ....!?)
その場所は俺が住んでいるボロアパートからだった。
恐る恐る近づいてみると、何と俺の家(104号室)の扉が開いているではないか。
家を出てくるときに俺は確かに戸締りをしてきたはずだ。
凄く嫌な予感がする、非常に嫌な予感がする。
その証拠に今背中に嫌な冷や汗をかいているところだ。
俺は音をなるべく立てないようにと、扉をゆっくり開けた。
すると目の前に広がっていた光景は、
誰かによって荒らされた痕跡がある、物が散らかった玄関と廊下だった。
しかも奥からは物音と人の気配がする。
これ、俗にいう最近若者で多い犯罪の"闇バイト"ってやつか?
(っ最悪だ...!!なんで金のない我が家にわざわざ入るんだよ )
金もない家から奪おうだなんて新手の煽りだろうか。
俺は内心イライラしながら、リビングに向かう。
案の定そこにいたのは、中学生か高校生くらいの男女3人組のガキだった。
「おい、お前ら人様の家で勝手に何してんだ?」
思わず心の声が漏れる。後々に考えてみればこの場で声をかけずに、
警察に連絡すればよかったと思っている。
「げっ...!? 帰ってきたぞー!」
「え、?!」
「マジ、」
3人組は俺と顔を合わせた瞬間、持っていた荷物を持って一目散に逃げようとした。
しかし、俺は廊下を通せんぼするかの如く立っていたので、
玄関に向かうことができすに慌てていた。
俺は警察を呼ぼうと、スマホに目を向けたその時だった。
俺の腹には包丁がぶっ刺さっていた。
「かハッ.........!!!」
いきなりの激痛に思わず声が出た。
それと同時に俺は膝から地面にぶっ倒れる。
あまりの痛みでどうにかなってしまいそうだ。
頑張って声を発そうとしても痛みで声が出ない。
頭上では満身創痍な顔をしている、俺を刺したと思われる少年が
俺を凄い目で見ていた。
後悔や絶望、恐怖だけではなく笑っているのだ。目の奥が。
頑張って俺はその少年が仁王立ちしている足の間から、
スマホを握りしめながら他の周りの状況を確認する。
もう一人の少年は窓から飛び出し、逃げようとしているようだ。
少女は目の前の恐怖に腰を抜かしてしまったのだろうか、
今にも泣きそうな顔持ちでこちらを見ている。
(ヤバイ。刺された腹辺りの感覚がない、)
刺された部分からは未だに血が溢れ出てきており、
腹辺りがどうなってるのかすら、見当もつかない。
そもそも彼らはいったい誰なんだ。俺は助かるのか。
嫌だ。まだ死にたくない。まだDTだし、彼女すらいたこと無い。
勘当されたとは言え、家族や地元の知り合いと顔すら合わせられていないのに。
まだ死ねない。意識が朦朧とする中で、
地面に散乱している物を手探りで
タオルか何かを探そうと、
手を根性で延ばして探そうとしたその時だった。
「大丈夫ですか、! 今救急車を呼びますから...」
上から聞こえたのは、さっき腰を抜かしていたと思われる少女だ。
震えた手で、必死に俺の傷口を彼女が所持していたハンカチで押さえてくれている。俺のことを刺した奴はいつの間にか姿を消していた。逃げたのだろうか。
俺は声を発して感謝を伝えよう(そもそも刺してきたのはそっちだが)とするも、
声が痛みで出すことができず、代わりに出たのはほぼ聞こえないであろう
掠れた声と肺に溜まっていた空気だけだった。
もう何分が立っただろうか。
俺は意識がほぼない状態に等しかった。
でも最後に力を振り絞ってしたことは
今出せる全力で手を伸ばし、
血まみれの手で彼女の頬に触れ、
「あり..がと.....う」
と言うことだけだった。
は 38歳でその短い生涯を終えた。
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