28 保険屋さんがよだれ垂らしてる



「あ、幹部〜。何してるの〜」


「勇者様」


 廊下で出会った幹部は保険屋を連れていた。


「保険屋に直してもらいたいところを伝えてるんです」


「見学したーい」


「どうぞ」


「やったー」


 幹部と保険屋の後ろをついていく勇者。


「この前ドラゴンが結界にぶつかりまして」


「はあ」


「その衝撃で魔王城の連絡路が壊れたんです」


「はあ」


「ここの修繕と、地下の水漏れの修繕、屋根の修繕も」


「はあ」


「幹部ー、保険屋がよだれ垂らしてるけど」


「これは仕方ないんです」


 幹部は保険屋を振り返る。


「ここに来る時に耐性がない者は気絶をしてしまうので」


「あー、だから気絶しないように意識を」


「半覚醒状態なら、歩けますし、話も最低限はできますので」


「へー」


 保険屋をつんつんと突いても倒れない。

 よっぱらいのような状態だ。


「本当は見て回ってもらいんですが」


「まぁ仕方ないよねー。じゃあ修理屋もそうなんだ」


「そうなんです」


 幹部は残念そうに肩を落とした。


「その点、悪役令嬢はさすが転生者です」


「耐性がもりもりなんだ」


「いえ、耐性は一つもありません」


「じゃあなんで気絶しないんだろ」


「転生者ならではの、なにか力なのでしょう」


「え、じゃあさ。転生者の保険屋とか修理屋がいたら楽そ〜」


「……!」


「あ、そろそろ魔王が会議の時間だから呼んでくる〜」


「は、はい。お気をつけて」


「幹部も頑張ってね〜」

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