魔王と勇者のだるゆるぐーたらモグモグごっくん。

久遠ノト

1〜20

01 魔王の椅子臭くない?



「ねー、やばいって。ちゃんと掃除してる?」


「してるしてる」


 魔王の椅子の匂いをクンクンと嗅いでみる。


 来る日も来る日もふかふかな椅子に座ってたから、どうなのかと思って匂いを嗅いでみると、もう大変なニオイがした。


「もしかして汗っかきとか?」


「えー? くんくんっ……臭う?」


「ちょっと脇のニオイも良い? 際どい格好してるから嗅ぎやすそう」


 くんくん。


「あ、汗のニオイだわ。ちゃんと消臭したほうがいいかも」


「えーーーー、臭いってこと?」


「汗のニオイだって」


「臭い?」


「なんか、こう……蒸れてる感じの」


「絶対に臭いじゃん〜……」


「あ、でも、私の鉄靴の中より臭くない」


 勇者は鉄靴を脱ぎ、魔王の鼻の近くに持っていく。

 くんくん。


「あ、くっさ。やっばぁ……やばいよソレ……昔なら封印されてたレベルでやばい。あ、近づけないで、もう良い」


「そんなに臭い?」


「うん。自慢できる」


「ちょっとショックなんだけどー……」


「勇者さ、騎士団に気になる人いるって言ってたじゃん」


「え? うん」


「絶対にニオイとか気をつけた方がいいよ」


「今の一言さあ」


「うん」


「この前食らった奥義より痛かった」


「ごめん」


 魔王は勇者の背中を擦る。


「二人で良い消臭の道具探そ?」


「うん……」

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