アンダーワールド

そのAaron

プロローグ

足音、息切れ、呻き声、そして悲鳴が交錯する。次々と放たれるプラズマ弾が、わずかな差で頬をかすめていく。敵を前に、手に握る愛用の電刀を頼りに、高速かつ華麗なステップで敵へと迫っていく。


電光一閃。敵の手から銃が落ち、いくつかの指もろとも床に転がった。敵の一人を退けたその時、耳元の通信機から声が響いた。


『弓崎、そっちは片付いたか?』


「何を言ってるんだ、僕が来てまだ5分だぞ。片付けられるわけないだろう?」


『あら?倫也、きみの効率ならとっくに終わってると思ったんだけど。もしかしてキノコが足りないんじゃない?』


「黙れ、テキサス。とにかく隊長、もうそろそろ目標に接触する。計画はまだそのままだよな?…おい、またどっか行ったのか?」


「倫也」という名の少年は不機嫌そうに通信機を叩くと、周囲を一瞥して方角を確認し、再び目標地点へと走り出した。


幾つもの曲がり角を抜け、多くの敵を排除しながら、倫也は純白でハイテク感溢れる扉の前にたどり着いた。扉横にあるキーパッドのカバーを開き、事前に得たパスワードを手慣れた様子で入力する。白い扉が中央から5つに分かれ、静かに開いていく。その奥に広がる光景が目に飛び込んできた。


広大な空間。周囲には植栽があり、部屋にわずかな生命感を与えている。細い建材とガラスを組み合わせた構造は、外の景色を垣間見ることができる。そして、部屋の中央にはコントロールパネルらしき装置があり、その前に一人の男が立っていた。


男は振り返りながら部屋に入った倫也を一瞥し、微かに笑みを浮かべると、正面に向き直り対峙した。


「2250年、人類は人口の増加によって、地表と地下という二つの新しい階級を初めて形成した…実に興味深い歴史だ。そして私は、ただその根本的な問題を解決しようとしているだけだ。きみもそう思わないかね、弓崎倫也?」


「その顔でそんな気持ち悪いこと言うんじゃねえよ。」


「殺気立っているな。しかし、きみも感謝すべきだろう?今この瞬間、きみは宇宙にいるんだ。地下のクズどもには到底できない体験だろう?」


倫也はわずかに眼球を動かし、窓の外に目を向けた。無限の暗闇の中に無数の光点が瞬き、まるで黒いキャンバスに白い絵の具を無造作に撒き散らしたような景色。壮大で広大で、そして静寂そのもの。


そう、倫也と目標は宇宙船の中にいる。この船は宇宙を漂っているのだ。


倫也は一言も発せず、ただ静かに目標を見つめていた。


「冷たいな。まあいい。雑談がしたくないなら、本題に入ろう。ここへは何をしに来た?」


「簡単だ。きみを止めるためだ。」


「それはお前自身の意思かね?」


「以前は違った。でも、今はそうだ。」


「なるほど…取り戻したのか、腰抜けが。」


倫也は一瞬怯んだ。「あの人」がまだ「そこ」にいることを知っていたからだ。


そう言うと、男は両腕を広げ、右手を掲げる。中指に嵌められた黒い指輪から青白い電光が迸る。その動作から、男の意図が伝わってきた。


相手の行動を見た倫也も、右手に装着した腕輪の装置を起動し、戦闘態勢を整える。二人の視線がぶつかり合う。


『ありがとう。』


同時に、二人は踏み込んだ。剣と刃が迫り合い、世界の未来を左右する戦いが、いま幕を開ける。

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