運ある鷹は爪を研ぐ
次にシクザールのターンが周ってきた。
「ねぇ、カール君、手札見せて」
真面目な顔でそんなことをシクザールは言ってきた。
「え?」
僕は思わず固まってしまった。その一瞬でシクザールは僕と目を合わせた。
「ああ、カール君の手札強いんだ」
核心を突かれ、僕は冷汗が出る。まるで手札が見透かされているのような……いや、多分見透かされた。
少なくとも、シクザールには、手札が強いこと――。
シクザールは手札を捨てながら言った。
「いいや、ボクは降りる」
その手札は僕よりも数段上の強い役、【フルハウス】!
何故その手札を捨てたんだ?順当にいけば勝ててただろうに。
シクザールの背後のモニターが無慈悲にも500Pと表示される。
しかし、シクザールは結果に反して嬉しそうな笑みを浮かべている。
シクザールは何か意図があるのか?
しかし、僕にその意図は分からない。
次にアルの番となる。
「……なぁるほど、シクザール」
すると、アルもフォールドした。
アルの手札は【ワンペア】。
しかし、シクザールに続いてアルまでフォールドだと……。
その後も全員がフォールドした。
そしてディラーは僕の勝利宣言をする。
「カール様以外フォールドしましたのでカール様の勝利です。では、第二ゲームは――大富豪です!」
カードが配られる少しの間、僕は考えていた。
なんでだ?何故フォールドしたんだ?僕以上の手札だってあったのに。
理由は?手札が見抜かれていた?いや、それなら尚更フォールドする意味が……。
もしかして、シクザールがフォールドしたから、僕の手札はシクザール以上。
つまり、フルハウス以上だと思い込んでフォールドしたのか?
彼らがそんなヘマをするのか?何故?いや、何か策略があるのか?
「カール様以外の全員がカール様へ100P譲渡されました!これにより、カール様のPは3600Pとなりました。」
しまった!
Pチェックのタイミングを忘れていた!
考えこんでいて誰かに譲渡するのを忘れていた!
まずい。やらかした。失格まで後400P――。
どうする!?どう取り返す!
今は4000Pを超えないようにするしか。
大量に賭け、早々にフォールドするしかない。そうすればPを減らすことが出来る。
シクザールが少し微笑みながら頬に手を当てる。
まるで全て手のひらと言わんばかりに――。
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