第14話

次の週、

梨花は[発熱]して、愛美が2週連続『お茶当番』を担当した。

家でクタクタになっていると、玄関のチャイムがなった。


「これ頼むわ」

梨花が、大量の洗濯物を持ってきた。ゴミ袋2つ分だ。

「えっ?」

戸惑う愛美に、梨花は洗濯物を押し付けた。


「洗濯機が壊れたの。乾かして畳んで返してね」

息子の汚れたユニホームや、梨花の派手な下着まである。


「ちょっと待って、無理よ」

「なんで? 洗濯機あるでしょ。ウチは壊れたのよ」

「コインランドリー使えば。商店街にあるわ」

「持ってくの大変じゃない」

「そんな」

「頼んだよ」

梨花はサッサと帰っていく。

愛美は大量の洗濯物を抱えて呆然となった。


洗濯物は何日も続いた。

洗濯機を買えばいいのにと思うが、そんな気は一切ないようだ。

愛美は、2倍の洗濯物に追われることになった。


ある日、洗濯物を届けると、梨花が真顔で言った。

「なんで、こうなってるか、解ってる?」


今さら何を???


「息子に言う、ってのも面白いよね。アンタの母親は援交してたよ、って」

「ふ~ん、じゃあ、野球部の保護者には言ってもいいわけ」

「じゃあ、勤め先は?」


あれほど脅して、

「なんでこうなったか、解ってる?」て、どういうこと?

21年前の援助交際をバラされたくないからだ。


愛美は吐き捨てるように言った。

「解ってるわ!」


愛美が閉めたドアを見て、梨花は意味深く言った。

「解ってないね」

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