「あ～、つまんない。離婚してたんだぁ。ダンナに言ってやろうと思ったのに」

梨花は残念そうだ。だが、

「息子に言う、ってのも面白いよね。アンタの母親は援交してたよ、って」

愛美が一番恐れるのは息子に知られることだ。

絶対に知られたくない。

でも、「梨花も家族にバレるのでは？」と思ったが、

梨花はデリヘルで働くシングルマザーで、息子も承知している。

だから『援交』がバレても平気だという。

「お願い。息子にだけは言わないで」

「ふ～ん、じゃあ、野球部の保護者には言ってもいいわけ」

「それもダメ」

「じゃあ、勤め先は？　確か３丁目のコンビニと」

愛美の心臓が早打ちする。

どうしても知られたくない人がもう一人いる。

弁当屋の店長、裕司だ。

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