第6話 2167年4月

サラスはソファに腰掛けて【ロンドン VS ナポリ】をデバイスで観戦していた。

何かがおかしい。

たしか、ルイスから「GUPA捜査官がやってきた」という報告があった。

それからどうした?俺は、その捜査官に会ったのか。

資金洗浄用の口座になぜ、こんなに残高がある?

この金の件で、GUPAの捜査が「カリブ」に及んだのか?

テーブルの上に並ぶ書類には、SOCの試合でカリュードが管理するオッズの詳細が記されていた。

『誰がイエローカードをもらうか?』

『誰がPKを決めるか、または外すか?』

選手を脅して、八百長で賞金稼ぎか?

こんなことをするためにカリュードを創ったんじゃない。


これが、俺たちが望んだ革命か?

様子のおかしいボスを、ルイスが心配そうに見つめている。

「ボス……?」

「俺たちは何のために戦っていた?」

サラスに問われてルイスは答えられない。

「こんな腐った賭博に頼るのは終わりにしよう。」



【フラミンゴ vs マドリード】

>>後半スタートして17分が経過しました。

両チーム攻めあぐね、拮抗したゲームになっています。

さぁ、ジジにボールが入る。マドリードが奪った。ノーファウル。

危険な位置で奪われた、これはピンチになる、左サイドにパスが出る。

ニコが左足で受けた、入れ替わった、シュートだ!ゴォォォォォール!!

マドリードが先制!いま後半18分に時計が変わったところ!

フラミンゴ中盤で奪われ、そのまま失点してしまいました。<<



「俺たちが、革命をやりとげなければ。」

サラスが静かに言った。

ルイスは戸惑いながらも、サラスの目に宿った光を見て、震えた。

かつてのボスが、革命家としての姿を取り戻した。


カサーレスは、上官であるロレンツから情報を受け取った。

​カリュードの首領ガブリエル・サラスが、マラカナンスタジアムで開催される【フラミンゴ対マドリード】の試合中に何かを計画しているというものだった。

GUPAの捜査情報にしては精度が低い。

MIAに追加調査を依頼したところ、カリュードは八百長資金で武器や爆薬を買い込んでいるという。​

ロレンツはカサーレスに【フラミンゴ対マドリード】に同行するよう命じた。

「俺は東側スタンドを張る、お前は西側だ。」

ロレンツは二手に分かれて、スタジアムに潜入していると思われる、カリュードの幹部らしき人物を探そうと提案してきた。


【フラミンゴ vs マドリード】

>>さぁ、後半31分が経過、1-0でマドリードがリードしています。

ジジがボールを受ける、フェイント、うまい、前を向いた。

フラミンゴのチャンスになる、右に展開、素晴らしいパスだ。

ナカサトが右で受けた、クロスあがるか、中には9番アレックス。

ナカサトが持ち直して、左足であげた、中央固い、ディフェンスがはじく。

ジジが上がってきている!目の前に落ちる、そのまま!打たない!

ボールを浮かせた、頭を越す、あぁ~っ!!!!!<<


カリュードはエクスプリスによる記憶操作を機に、組織本来の理念である「革命」に舵をきった。

​西側の干渉を排除し、南米の独立を保つ。

ガブリエル・サラスは、ここ数日間グティと綿密に計画を練った。

狩人たちの楽園、「戦士たちの楽園」を南米に打ち立てる。


犠牲を伴う「革命」を。

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