初代の名 ジュンside
第2話
西で最大規模の暴走族“龍舞一心”初代にして歴代で只一人総長として存在した男。
その人の名前は――――――…………
「出雲 陽」
その名前を出せば隣に力なく腰掛けていたユズキは小さく肩を上げて、大きく目を見開いた。
ユズキにしては余りに過敏な反応に俺を含め、この部屋に居る全員の視線がユズキに一致した。
「…ユズ?」
恐る恐るユウが呼び掛けるが、ユズキは硬直したかのようにピクリとも動かない。
どうしたっていうのか。
「…陽……」
ユズキが誰にも聞こえない小さな声で何か呟いたのが隣に座る俺には分かった。
しかしその言葉までは聞き取れず、話の続きを進めようと顔を覗き込んだ。
「ユズキ、話の続き聞けるか」
複雑そうに眉を寄せ鋭く碧眼を光らせる。
より一層何かを決意したような真剣な眼差しと表情は妙に大人びていた。
目が合うとユズキはその緊迫した表情を少し緩め、コクリと頷いて見せた。
「“龍舞一心”は初代のまま時が止まっていた」
俺達が感じた違和感はそれだった――――……
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