あこがれの魔法少女――私が私になる物語
清泪(せいな)
光の彼方にあこがれて
子供の頃、魔法少女・スターリアに憧れていた。
テレビの向こうで、輝く星のように戦う彼女の姿は、まさに『ヒーロー』だった。
「スターライト・ブレイブ!」
彼女が魔法を放つたびに、夜空に流星のような光が走る。
それを見ながら、私はいつも思っていた。
(私も、スターリアみたいになりたい)
だけど、現実は違った。
現実の私は、ただの中学二年生――
運動はそこそこ、成績は可もなく不可もなく、特に目立つこともない普通の生徒だ。
「ねえ、次の試験やばくない?」
「やばい、英語が死んでる……」
クラスメイトたちが話しているのを横目に、私は自分のノートを開く。
ページの端には、つい落書きしたスターリアの姿。
小さな頃から、ノートの片隅にはいつも彼女がいた。
「白崎さん、何見てるの?」
声をかけてきたのは、クラスの優等生、
彼女は運動もできて、成績もトップクラス。まるで現実のスターリアみたいな存在だ。
「……あ、何でもない」
「ふうん」
黒江さんはそれ以上は何も言わなかったけれど、その視線はどこか探るようだった。
その日の帰り道、私は商店街を歩いていた。
(何か特別なことが起こればいいのに)
そんなことを考えながら夜空を見上げた瞬間、世界が変わった。
――ズゥゥン……!
地響きのような音が響き、空間が歪んだ。
視界の端に、黒い霧のようなものが広がっていく。
そして、その霧の中から現れたのは――異形の怪物だった。
(な、何……!?)
そいつは、人間の形をしていながら、顔の部分がぐにゃりと歪んでいた。
まるで悪夢が形になったような存在。
恐怖で足がすくむ。
誰か助けを呼ばなきゃ。
でも、声が出ない。
怪物がゆっくりとこちらに向かってくる。
逃げなきゃ、そう思うのに身体が動かない。
そのとき――。
「スターライト・ブレイブ!」
眩い光が辺りを包み込んだ。
私は思わず目をこする。
そして、その光の中に立っていたのは――。
「スターリア……!」
本物だった。
私がずっと憧れていた、魔法少女スターリア。
彼女は長い金髪をなびかせながら、光の剣を振るう。
一瞬のうちに怪物を斬り裂き、消滅させた。
(すごい……! 本当にスターリアだ……!)
私は息をのむ。
しかし、スターリアはその場に膝をついた。
「……ッ!」
よく見ると、彼女の衣装の一部が黒く染まっている。
怪物の攻撃を受けて、傷ついていたのだ。
「スターリア、大丈夫!?」
駆け寄ろうとする私に、彼女は微笑んだ。
「……アナタが、次の魔法少女になれるかもしれない」
その言葉とともに、彼女の身体が光の粒となって消えていく。
「ま、待って……!」
私は手を伸ばす。
でも、彼女の光は指の隙間をすり抜けていった。
ただ呆然と立ち尽くす私の前に、小さな星のような光が舞い降りる。
「キミが、スターリアの意志を継ぐ者?」
光の中から現れたのは、小さな妖精のような存在だった。
「……え?」
「ボクはフィリオ。スターリアのパートナーだ。キミに伝えなきゃいけないことがある」
その言葉を聞いた瞬間、私は理解してしまった。
これは、私が憧れ続けていた『魔法少女になるチャンス』だ、と。
だけど――本当に、私に務まるんだろうか?
私はスターリアみたいに強くない。
ただの普通の中学生だ。
(でも……)
目の前には、まだ光を放つフィリオ。
スターリアの最後の言葉が、胸の中で響いていた。
私は、スターリアのようになれるのだろうか?
……それとも――。
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