第7話 未来への扉

「未来に行く……?」


僕は思わず、みらいの顔をまじまじと見つめた。


「本当にそんなこと、できるの?」


「ええ。でも……かなりリスクが高いわ」


みらいの表情は真剣だった。僕はゴクリと唾を飲み込む。


「どんなリスクがあるの?」


みらいはホログラムに手をかざし、目の前に複雑な数式と図が浮かび上がった。


「未来へ行くには、"時間の狭間"を通過する必要がある。でも、狭間は不安定で、どこに繋がるかわからない。もし制御を誤れば、"未来"ではなく、"過去"や、"存在しない時間"に飛ばされるかもしれないわ」


「そんな……!」


「それに、仮に未来にたどり着けたとしても、未来の人々が私たちを受け入れてくれる保証はない。むしろ、過去からの干渉者として排除される可能性もあるの」


「排除……って、それって、どういう……?」


「最悪の場合、戻れなくなる」


僕は思わず息をのんだ。


「でも……」


僕は拳を握りしめた。


「それでも、お母さんを助けるためなら、行くしかない」


みらいはしばらく僕の顔を見つめていたが、やがて小さく頷いた。


「……分かったわ。じゃあ、準備を始めましょう」


***


夜になり、僕とみらいは家のリビングにいた。


テーブルの上には、みらいが用意した小さな装置が置かれている。


「これは……?」


「"時空転移デバイス"。本来は"MI-RAIプロジェクト"の実験用装置だったものを、私が改良したわ」


装置は手のひらサイズで、青白く光る球体が中央に浮かんでいる。


「この装置を使えば、"時間の狭間"にアクセスできるわ。ただし、一度に転移できるのは二人まで」


「二人……」


僕とみらい。


「つまり、僕たちだけで行くってこと?」


「ええ」


みらいは僕をまっすぐに見つめた。


「準備はいい?」


僕は深く息を吸い込み、ゆっくりと頷いた。


「……うん」


みらいが装置を操作すると、球体が淡い光を放ち始める。


次の瞬間――


僕たちは、光の渦に包まれた。


***


気がつくと、僕たちは見知らぬ場所に立っていた。


目の前には、高層ビルが立ち並び、空には無数のホログラム広告が浮かんでいる。


「ここは……」


「未来よ」


みらいが静かに言った。


未来――


僕たちは、本当に時間を超えたんだ。

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