第2話 運命の第二次試験
とうとうこの日がやって来てしまった。できる限りの準備はしたはずだ。私は急いで着替える。今回はスーツだけどちょっと細工をして天使風な感じになっている。私の声はガツンとしたロック系ではなく、天使のような穏やかなほうがあっているからである。
◇そして会場に到着◇
会場に着くと、段々と緊張するようになってきた。ドアの先には面接官がいる。その人が私の事を評価するのだ。どんな評価をするのかは気になる。しかし結果は合格か不合格かだけ。どんな風に思われたのかはわからない。
コンコンコン…
「どうぞ。」
「失礼します。」
入室。ここからが本番である。何を聞かれるかはわからない。でも、直ぐに対応するのみ。こき使われただけあって対応力はあるはずだ。
「それではまず、自己紹介をお願いします。」
「天音そら、24歳です。歌と対応力はものすごく自信があります。」
これは定番。ここはまだ個性を出さないでおくのが吉と考えた。
「えー、とりあえず定番はここまでにしておいて。で、肩苦しいのはやめ!こんなんじゃ個性でないしね〜。よいしょっと、あ、私はStar Painters取締役、海野 みやこです!君のことが気になりすぎて面接官変わってもらっちゃった☆」
!?
顔には出さなかったが、さすがに驚いた。まさかの取締役が直々に面接官をやるとは思ってもいなかった。それも理由が気になりすぎて…!?
「かしこまんなくていいからね、別にそういうの気にしないし!で、歌にものすごい自信があるんだってね?聞かせてくれない?」
…え?
私の歌を聞きたい…?
まさかすぎる展開で驚きを隠しきれなかった。しかし、言われた通りにした方がいい。
「分かりました。それでは、歌います。」
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サビで少しミスったが、それでも十分な出来だったと思う。
「すばらしい!!よし!もう君は合格確定!」
「え?」
まだほかの人たちは終わっていないのにも関わらず、まさかの合格を貰ってしまった。いやありえないでしょ。もっと他の人も見て考えません?
「元々ね〜、もうほとんど決めてたんだよね。だから、これは消化試合みたいな。だからほとんどの人は無駄な面接に来てる、みたいな感じなんだよねぇ〜。君の得意なことによってもう1人を決めようと思ってたとこ。」
「なんで私は元々決めてたんです?」
ほとんど決めてた、というのはどのような理由で決めたのか。さすがに意味がわからない。だって《最強になる覚悟はあるか》という質問項目しか無かった。あとは一応普通の履歴書。なにも決定的に決めるものはなかったはずである。
「だってさ〜、あんなに自信満々に答えた人君の他にひとりもいなかったんだよ?履歴書には昔VTuberをやっていたようなのはなかったから、それなのにあんなに自信満々なのはもう採用だよ、1発1発。で、君はさ、1期生あと何人欲しい?どんな人がいい?」
「私がそれ決めていいんですか…」
「え?全然いいけど?」
さすがにやりすぎでは無いだろうか…。私に採用者を選べと?採用される側なのに?
「いうなら…まあ私と一緒にステージで歌ってくれる人ですかねぇ…。あとはダンスできる人とか。」
「なるほどなるほど、ふむ…。ちょうどいい子がひとりいたよ。その子にしようかな。というかさっきの歌すっごいよかったからさ、もっと色んな曲歌ってくれない!?私がファン第1号ってことで!」
そうしてその後も1時間ほど初めてのファンの前で歌った。楽しかった。友達以外の人に歌声を聞かせるのは初めてであり、抵抗があるかと思ったが意外になかった。
「素晴らしかったよ…。あ、そうそう、君の合格通知一応送っておくからね。そこに書いてある日付に色々と決めるからまた来てね。」
なかなか濃すぎた面接であった。人生とは何が起こるか分からないものだと、改めて実感した。
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