きっかけはちょっとしたことでした。

 誰でもアイドルに憧れるじゃないですか。そんな感じだったんですよ。

 さすがにね、この年齢になったらアイドルなんて無理だなーってわかるんですけど、でも、ちやほやされたいみたいな気持ちはやっぱりあるじゃないですか。

 最近はすっかり落ち着いちゃいましたけど、当時はバーチャルユーチューバーっていうのがめちゃくちゃ流行ってたんですよ。

 寝る前とかにスマホでユーチューブを見てたら切り抜きとか流れてきてなんとなく知ってたんですよ。

 こういうのならわたしもなれるかもって思ったんですよ。

 パソコンなら学校の授業で触ったこともあったし、ゲームってあんまりやったことはないけど、やってみたら夢中になるんだろうなって思ってたんですよ。

 その頃、就職活動も上手くいっていなかったんで、ハッキリとした言い方をすると楽してお金を稼げるように見えたんですよ。

 それに歌うことになら自信もあったんでいけると思ったんですよ。

 なんとなく、そういうふうに思ってよく検索してたんですよ。『始め方』とか『なりたい』とか『オーディション』とか。

 すると、ちょうどそのときにオーディションをやってたんですよ。

 わたし、自分に自信はあんまりないんですけど、このときはやってみようって思って、応募したんですよ。

 そしたらね、受かったんですよ。

 ネットに入り浸っていないわたしでも知ってるくらいだったから相当人気のコンテンツだと思うんですよ。具体的な数字は聞いていないんですけど、企業の『バーチャルユーチューバー』ってだけで応募もかなり多かったらしいんです。

 やってやるぞ! って気持ちではいたんですけど、まさか本気で通るとは思っていなかったですね。

 やっぱり嬉しかったですよ!

 大勢の中から選ばれたんだーって思うと、すごく自信にもなりましたし。

 でも、思ってたようには上手くいかなかったですね。

 視聴者でいたときには目につかなかったこととか気になりますし、思ってもない形で言葉を受け取られちゃったりして、思ってたのと違うなあ、大変だなあって思いました。

 わたし、一年間は活動していたんですけど、そのうちの三ヶ月くらいは休止していました。

 ここから少しは嘘を交えながら話そうと思います。

 その一年間の思い出を。



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