序幕

第1話

―――――――……漆黒の海が光に照らされ輝いている。




遠く、深く、どこまでも広がる大海と、どこまでも続く公道。



満天の星空の中で、黄色い月がニコリと笑ってる。



先を歩く大きな背中。白い煙が暗闇に溶ける。



潮風に交じって、アタシに届くはブルガリの匂い。





確認するようにアタシを振り返る姿に、胸がギュッと苦しくなった。






……―――――心が、満たされる。





再び見上げた月が、何故かじんわり歪んで見えた。

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