世界

第2話

バシッ!!



「聞いてんのかよッ?!」



耳障りな声と、頬に感じる痛み。目の前にはケバい先輩たちが鬼の形相でアタシを睨みつける。



「ケイにどんな色目使ってんのか知らないけど、さっさと別れたら?」



「ケイが嫌々付き合ってるって迷惑してんだよ」



「さっさと別れろ」



「何回言えばわかんだよ!」



「・・・・、」



一体何だっていうの。何でアタシがこんな目に合わなきゃいけないわけ?



ブタれた頬を抑えながら、湧き上がる怒りに足元を睨みつけた。



最近、やっと腫れがひいたばかりの頬を狙ったかのように打たれ、オマケに身に覚えのない罵声を次から次へと浴びせられ。



「これだけ言っても分からないようなら、その長ったらしい髪の毛切ってあげようか?」



いや、マジで意味がわからないし。



何が面白いんだか、クスクスと笑う声と同時に体がふらりと傾いた。痛いほどに髪の毛を強く掴まれ、前屈みになる。



こんなあからさまなイジメなんてあるわけない。そう思っていたのが、もはやとうの昔に感じられる。



「「切ーれ!切ーれ!」」



とうとうそんなバカなコールまで始まり、さすがのアタシも頭の血管がブチっと切れた。

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