ダンジョンテイマー ~ウルフと思ったら最強のフェンリルの少女を手名付けた俺は最強のテイマーを目指す~

仮実谷 望

第1話 フェンリルの少女

 松島天都(まつしま あまと)は、18歳になったばかりの青年だ。


 小さなアパートの一室に住み、毎日をダラダラと過ごしていた。小さい頃から夢見ていたのは、ダンジョン探索者として伝説のモンスターや宝物を手に入れることだったが、現実はそれとは程遠い。毎日朝から晩までダンジョンに足を運んでは、わずかな報酬で帰る日々が続いていた。


「また、ゴブリンか…」


 天都は、疲れた顔をしながらも、ダンジョンの中を歩いていた。彼が最初に挑んだのは、 Fランクのダンジョン。最弱のモンスターが徘徊するだけで、彼にとっては身の丈に合った場所だった。しかし、その最弱のモンスターでさえ、簡単に倒せるわけではなかった。


「いけるか…?」


 目の前には、ゴブリンが三匹。おそらく、天都にとっては今日も最後の戦いになるだろう。彼が取り出したのは、ポーションと簡単な短剣だ。短剣で戦うにも技術が足りず、かつて獲得したスキルやアイテムの少なさが悩みの種だった。


「頼む…なんとかしてくれ」


 天都は心の中で呟く。その瞬間、ゴブリンの一匹が前に出て、刀を振りかざしてきた。 天都は慌ててその攻撃をかわし、反撃しようとしたが、足元が滑り、短剣は空を切る。


「ううっ…」


 痛みに顔をしかめながらも、天都は何とか自分を立て直し、再び攻撃をかわす。そして 短剣を振り下ろすが、ゴブリンはその攻撃を軽く避け、無慈悲に刀を突き立てる。


「こんなことで…」

 天都の頭に浮かんだのは、いくつかの言葉。ダンジョン探索者にとって、最弱のゴブリンでさえ倒すことができないと、次のステップに進むことはできない。それでも彼は諦めなかった。


「これで終わるわけにはいかない!」

 天都の中で何かが弾けるような気がした。その瞬間、何かが起きた。ポーションが残り少なくなっていたが、それを飲み干し、再び立ち上がる。


「俺が…必ず…!」

 その時、ダンジョンの奥から奇妙な音が聞こえた。どこかから風が吹き抜け、木々が揺れる音がした。そして、ふと目にしたのは、森の奥から現れる「ウルフ」の影。最初、天都はそれがただのウルフだと思っていた。しかし、彼は違和感を覚えた。


「ウルフ…?こんな場所に?」

 普通なら、ウルフがこの辺りに出現するはずはなかった。天都はおそるおそるウルフに近づくと、そのウルフは倒れそうになりながらも、弱々しく天都に近寄ってきた。顔が血に染まり、かなり弱っている。


「どうしたんだ?大丈夫か?」


 天都はポーションを取り出し、ウルフに与えようとした。その瞬間、ウルフはそのまま静かに倒れてしまった。


「え…?」


 天都は驚いた。ウルフが死んだ瞬間、その体が消え、何かが彼の手に残った。それは、ウルフのモンスターカードだった。天都はそれを見て、何も分からずにただ目を見開く。


「まさか…」


 それは伝説級のモンスターであるフェンリルのカードだった。最初はウルフだと思ったが、そのカードの詳細を見てみると、確かにそれはフェンリルのモンスターカードだった。


「これ…売ったらすごい金になるけど、俺は…」


 天都は悩んだ。もし売れば、少なくとも5億は手に入る。それでも、彼は心の中で決断を下す。


「売らずに、使うんだ」


 その決意の下、天都はカードを取り出し、召喚を試みた。その瞬間、光が溢れ出し、目の前に現れたのは、なんと一匹のフェンリルではなく、一人の少女だった。


「…え?」

 

 天都は目を疑った。フェンリルのモンスターが召喚されたはずなのに、現れたのは白髪をした小さな少女。その少女は犬耳を持ち、ふさふさとした尾を持っていた。彼女は少し困った表情で天都を見上げる。


「あなたが私のご主人様なの?」


 フェンリルの少女は天都に何をもたらすのか。

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