第7話 絶望の境界
目覚め
「これは……夢じゃないのか?」
視界がぼやけ、耳鳴りが響く。目を開けると、強烈な光が周囲を包み込み、金属の匂いが鼻をついた。全身に鈍い痛みが広がり、意識がゆっくりと戻ってくる。
旬は地面に転がりながら荒い息を吐いた。目の前に広がるのは、現代の東京ではありえない光景——無機質なメタリックビルがそびえ、無数のホログラム広告が宙に浮かぶ街。
「どうして……俺はここにいる?」
視界の端に映るビルのガラスに、自分の姿がぼんやりと映り込む。汗まみれの顔、荒い呼吸。記憶は混乱し、最後に何をしていたのか思い出せない。
緊急警報
耳をつんざく警報音が鳴り響いた。
——違法侵入者、発見。
「……は?」
目の前のスカイモニターに赤い警告文が表示された。同時に上空から複数のドローンが降下し、無機質な機械音声が流れる。
——対象を拘束します。
「冗談だろ……!」
逃走
旬は反射的に駆け出した。舗装された金属の地面を蹴ると、足元で細かな火花が散る。背後のドローンが鋭い電子音を響かせながら迫り、赤い警告ライトが壁や地面に不気味な影を作り出す。
脇道に滑り込んだ瞬間、冷たい金属の壁に肩をぶつけ、鈍い痛みが走る。
「くそっ、なんなんだよここは!」
背後でドローンが猛追する。レーザーサイトが彼の体を捉え、警告音がさらに激しくなる。頭の中に疑問が渦巻く。
(俺は、いったい何をしていた? どうしてこんな場所に?)
「止まれ!」
更に前方の角から、装甲スーツを纏った警備兵が現れ、銃口をこちらに向けた。
「マジかよ……!」
行く手をふさがれ、振り返ればドローンが包囲する。
(終わった——)
ポッドの覚醒
その瞬間、ポッドが突如発光し、脈打つように明滅しながら宙に浮いた。滑らかに形を変え、ゆっくりと旬の腕に収束していく。
光は徐々に強まり、青白い輝きが腕に吸い込まれるように馴染んでいった。肌に触れた瞬間、ひんやりとした感触が広がり、金属の硬さと柔らかさを併せ持つ不思議な質感だった。
「えっ……?」
青白い閃光が瞬くと、ドローンのセンサーが混乱し、警備兵たちは動きを止めた。
ポッドはまるで意志を持つかのように、腕に沿って流動しながら前腕部に密着する。滑らかな楕円形のフォルムを形成し、表面には微細な紋様が浮かび上がる。それがまるで脈動するように淡く光を放っていた。
旬が指をそっと動かすと、それに呼応するようにポッドがわずかに光を強めた。まるで自分と一体化し、意識を読み取っているかのようだった。
逃亡と消耗
旬はネオの街を必死に逃げ続けた。建物の影を縫うように移動し、時にはドローンの視線を避けるために廃墟の中に潜り込んだ。都市の隅々にまで張り巡らされた監視システム、至る所に配置された警備兵。
廃墟の影に身を潜め、肩で息をする。全身は汗にまみれ、足は限界を訴えていた。
(こんなの、ずっと続けられるわけがない……くそ、少しでも休まないと……)
喉の奥がカラカラに渇き、鼓動がやけに速く感じる。だが、立ち止まれば即座に見つかるだろう。慎重に次の逃走ルートを探す。しかし、夜になっても追跡の手は緩まなかった。
回避
暗闇の中、足音が響く。遠くでネオンが淡く揺れ、冷たい金属の匂いが漂う。背後ではドローンのエンジン音が高まり、周囲の影を鋭く切り裂いていた。
「伏せろ!」
鋭い声が響いた瞬間、閃光弾が炸裂した。白い閃光が視界を焼き、影の輪郭すらかき消していく。続けざまに数発の銃声が響き、警備兵が次々と崩れ落ち、ドローンが機能停止する。
旬は思わずその場にへたり込んだ。視界が回復すると、目の前に銃を構えた若い女性が立っていた。
「お前……誰だ?」
黒い戦闘スーツを纏い、冷たい瞳でこちらを見下ろしている。
「お前こそ何者?」
銃口が旬の額に向けられる。
次回予告:「交錯する運命」
突如として現れた謎の女性——彼女は敵か、それとも味方か?
銃口を向けられ、極限の緊張が走る中、旬の脳裏に過るのは、断片的な記憶の欠片。ネオ・アルカディアという都市の名。ポッドが示す未知の力。そして、自分がここにいる理由——それは何なのか?
「時間がない。お前が敵なら、今すぐ排除する」
冷徹な声と共に、彼女の指がトリガーにかかる。しかし次の瞬間、彼女の視線がポッドに釘付けになる。
「それ……どこで手に入れた?」
運命の糸が絡まり、逃亡劇は新たな局面を迎える。次回、「交錯する運命」——真実の扉が、いま開かれる!
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