初めてのプレゼント

「ルーク…これを…」


夕食時に公爵様はそう言うと、オリヴァーさんに小さな箱を渡した。オリヴァーさんは、ゆっくり此方へ近づき渡された箱を俺へと渡してきた。


「ルーク様、どうぞお受け取り下さいませ。」


俺は、オリヴァーさんから小さな箱を受け取りそっと箱を開けると、中には小さな青い魔石が付いた指輪が一つ入っていた。


「これは…?」

「魔石に、変化魔法へんかまほうを込めてある…。お前は、十歳になったら冒険者登録をしたいとオリヴァーから聞いていた…だからこれがあれば、色々助けになるだろうからな…」

「……公爵様」

「それを付ければ、お前のその黒髪赤目を好きに変えることができるはずだ。冒険ギルドで登録するには、その姿では大変だろう…」


そう言いながら公爵様は、俺を見た。

(確かに…この国では、黒髪赤目は忌み嫌われてるから…もしかしたら邪魔されたり、登録自体出来ないかもしれないでもこれがあれば…登録もしやすくなるし街へも自由にいけるのでは!!!マジか!)

俺は、指輪をじっと見つめた後公爵様を見ると公爵様と目が合うがすぐ公爵様は、俺から顔を背けた。

もしやこれはあれか?誕生日プレゼントだったりするのだろうか?お祝いの言葉はないが、先程の言葉からしても誕生日プレゼントなのだろう…

突然プレゼントとかめっちゃ怖いんだけど…でも貰えるものは貰っておこう精神の俺は、ニコリと笑いながらお礼を告げた。


「ありがとうございます。公爵様、大切にさせていただきます!」

「……そうか」


そう言うと公爵様は食事を再開する。

カチャカチャと食器が微かにぶつかる音だけが部屋の中に響く…相変わらず気まずい…

そんな事を思っているとサイラスから話しかけられた。


「お前…今日誕生日なのか…」

「え?…あ……はい」


サイラスが、俺を見ながらというか最早睨みに近いレベルで見ている。もしやお祝いでもしてくれるのだろうか?など考えているとサイラスが口を開いた。


「ふん…十歳には、全然見えないな…お前みたいな奴が冒険者登録をしたいなんて…ルーゼント家に恥をかかせるなよ?《化け物》が…」

「…………」


サイラスは、最後の言葉は俺にだけ聞こえる様に小声で言い、嘲笑う様にそう言い終えると顔を背け食事を再開していた。


(え……えぇ〜マジか!サイラスって今、七歳だよね?すげぇー偉そう…何故、上から目線なんだ…子供らしくないし…てかせめておめでとうくらいの祝いの言葉は、言ってくれ…弟よ。)


廊下でサイラスと出会ってから二年、驚く位兄弟の仲は良くない…何度か偶然出会ったりすれ違いざまに、嫌味言ったり嫌がらせを俺にしては去っていくの繰り返しの二年だった。

出会った時から、嫌われていたのは知っていたし分かりきってはいたがやはり心の何処かで、いつか仲良くなれるのではないかと期待していた。しかし、それは無理なのかもしれない。この二年で、それをすごく感じている。


俺は、そんな事を思いながら目の前の料理をジッと見つめナイフで切ったステーキの一切れをフォークで口へと運んだ

(まぁ…このまま嫌われてても問題ないか!どうせ十五には、ここを出ていく予定だし…ただな〜公爵様がな…)


公爵様には、俺が十歳になったら冒険者登録をしたいという事と十五歳の成人を迎えたら家から出ていく予定だと言うことは、オリヴァーさんが公爵様へ伝えたらしくその次の日に、執務室へ呼び出された。


そこで、公爵様から言われたのは十歳になったら冒険者登録する事を許可する事とこの家を出るという件については、決定せず保留にしてほしいと言われそしてここを出るという話は、リリー様とサイラスには伝えないとも言われた。

どうしてか分からないが公爵様は、俺をここに残したいらしい…何故だ?嫌っていたからあんな扱いをしていたのだろうに…公爵様の考えが俺には全く分からなかった。


そして食事を終えた俺は、部屋に戻り入浴を済ませ寝間着に着替えベットへと腰掛けた。


「はぁ〜疲れた…食事だけでこんなに疲れるとかしんど…」


背を丸め片手で顔で覆いながら呟いていると、トントンっと扉をノックする音が響いた。


「ルーク様、夜分遅く失礼致します。」

「入っていいよ…」

「失礼致します。」


そう言うとアティカスくんが扉を開けて部屋へと入ってきた。アティカスくんの後ろには、マリーさんも立っていた。


「二人とも、どうしたの?」


二人は、俺を真剣な顔で見つめゆっくりと近づいてくると目の前で片膝を床に着き座り俺を見上げ告げる


「私共は、ただの使用人に過ぎません。ですがどうかルーク様の大切なこの日を、一緒にお祝いする事をお許しください。」

「本来ならば、お祝いの言葉のみでこの様に贈り物を贈ることは、許される立場ではありません…ですがこちらを受け取ってくださいませ。」


そう二人は言うとポケットから包装された物を取り出し俺に差し出してきた。

俺は、驚きすぎたのと嬉しさのあまり目を見開き壊れた機械の様な喋り方になると自然と俺の目から涙が溢れていた。


「え!…ま!…へ!…え!!」

「「ルーク様!?」」


(マジか!?嬉しすぎる!!!二人からプレゼントが貰えるなんて中身おっさんだけど、泣きそうてか泣く…)

どうも身体の年齢に引っ張られているのか涙脆くなっている気がしなくもないが別にいいだろうと思っている

【この子】の記憶を見た時、約八年【この子】は泣く事も我慢していた。いや…我慢するしかなかったのだろう

それが、今俺という〖意思〗が目覚め我慢する必要がなくなった事で、溜まっていた涙が一気に出てきているのかもしれない

それに、事実中身はおっさんだがまだ十歳の子供なのだから許してほしいところだ

俺は、目の前でおろおろしている二人が持っている個装された物を、そっと受け取り胸に優しく抱きながら心の底からの笑顔で告げた。


「二人とも!ありがとう…嬉しい…凄く嬉しい!」

「…ルーク様!」

「ルーク様…ッ!」


二人もそんな俺を見て、嬉しそうに優しく微笑み返してくれた。



そして!遂に明日は待ちに待った街へ行く…

俺は、ふかふかなベットに潜り込み幸せな気持ちで眠りについた。

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