家出少年〜ホームレス中学生〜

中条駿

家出の始まり

普段通りの朝、いつも通りの生活……。

 

そんな平穏な毎日を、今日も送って行く………


そんな筈だった。



「今日は夕方の6時からピアノの発表会ね〜」

 

 僕、15歳。反抗期なんて今までさらさら来たことのない、"普通の"中学3年生。色々と面倒くさがり屋で、髪を切るのが面倒なのでずっと伸ばしている。

 そんな僕だけど、小さい頃から人とのコミュニケーションが非常に苦手。だから友達なんてそんなにいない。いたとしても自分と同じ変わり者ばかりだ。

 家族4人暮らしで、母親と3歳下の妹、そして6歳下の弟だがいる。

 今日は半年間ずっと頑張ってきた、僕と弟のピアノの発表会の日だ。家族みんなが楽しみに待っている。


「ちょっとそれとっていい?」

 

 朝ごはんを摂った後、僕は学校から出された週末課題を確認しようと、妹の前を通った。


トン!


妹の足にちょっと当たってしまった。


「うわ〜〜〜〜ん!!」

 

 今日もまた始まった。妹のパニック症候群が……。こうなったらもう誰にも止められない。

 少し当たりでもしたらこの有様だ。毎日毎日ギャーギャーギャーギャー相変わらず嫌気がさす。

 勿論すぐ謝った。でも聞こえていない。こんな時の対処法は一つ。僕が上に上がればいい。大事にならないうちに、僕は2階へと上がっていった。


「おい! 降りてこい」

 

 しばらくして母親の声がしたので、僕は素直に降りてきた。


「何でココば通ったか! こっちから通ればいいやろうが!」


 母親必殺、正論ぶちかまし。こう言われると何も言い返せない。


「黙らんでなんとか言え!」


 家に来ていた祖母もそう怒鳴ってきた。祖母がいる時は毎度話が拗れるから、僕はこう言った。


「ただ単に課題したかったから通ったら……」


「言い訳はいらん!」

 

 (……え?)


 僕は一瞬思考が止まった。一体何を根拠に祖母はこんな事を言うのだろう。


「もういい! お前などと帰ってくんな!」


 祖母の脅しだ。勿論僕は出て行かない。


「出て行けっていいよろうが!?」

 

 そう言うと祖母は僕の方に近づいてきた。僕は咄嗟に後ろに避けてしまった。


「おい! 逃げんな!!」

 

 さらに詰め寄ってきた。僕は慌てて玄関の方へと出た。誰か止めてくれたらいいのに、誰一人として祖母を止めてくれない。


ガチャッ!


 来た。祖母の恐怖に勝てず、僕は自転車に乗って家を出て行ってしまった。



(ダメだ……帰る勇気がない)

 

 この時、僕の所持品は携帯電話のみ。


 このことがあんな大ごとになろうとは、この時はまだ誰も予想だにしてなかった…………。


 

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