取り敢えず最上位神様の腰軽すぎませんか定期


 トランの用意してくれた美味しい夕食を食べて満足した僕はトランが作ってくれたフカフカのやけに大きなベットで寝ることにした。

 トランと一緒に・・・。

 何故かトランと一緒に・・・。


 トランは制服姿ではなく、肌が透けて見えるような薄い煽情的な布だけを纏ってるような状態で、何か、とってもエッチだった(ネグリジェの様な物)。


「な、な、な、何でトランが僕のベットにいるの」

 興奮で鼻血が垂れそうなのをこらえてベットから慌てて出ようとしたけどトランに掴まれてベットの中に引っ張られる。否、引きずり込まれる。


「何でって、ご主人様がそう望んだじゃないですか。私はご主人様の望みを何でも叶えるつもりなんですよ。さあ、身を任せてください」

 トランが僕を押し倒す。目を瞑るがトランの良い匂いだけで頭が沸騰しそうだった。

 

「ちょ、ちょっと待って。そ、そういうのはまだ、早いというか。確かに、の、望んでなくはないけど。それでも。トランは可愛い女の子なんだからもっと自分を大切にするべきだよ」


「フフフ。でもご主人様がそう望んでいるでしょう。私はご主人様の為ならば何でもします。文字通り何でも。だから私に身を任せてください。ホラ、こんな風に」

 トランが僕の手を持って自分の服の中に入れる。

 初めて触るソレは柔らかくて少し弾力があった。

 

「トラン。嬉しいけど僕たちは今日初めて会ったんだよ。だから、でも」


「ご主人様。一緒にいた歳月なんて関係ありません。私の様な不老不死にとっては特に。だから私を受け入れてください。それにこれは私の強い意思でもあります。ご主人様は私に今日名前を授けてくれました。ただの下っ端な私にトランという名前を。私はそれがたまらなく嬉しくて暖かい気持ちになれたのです。だからご主人様愛しています。心の底から愛しています」

 自分の心臓の鼓動が明らかに速くなるのを感じる。

 トランという名前を通じて僕の魂に直接トランの想いも伝わってくる。

 それは僕に対する絶対の忠誠心と愛情だ。ああ、なんて深い深い想いなんだ溺れてしまいそうだ。

 

 トランと僕の顔が後数センチでくっつく距離まで近寄る。

 吐息、汗すらも肌に感じる。

 

「トラン・・・」


「ご主人様・・・」

 このまま流されてもいいんじゃないか。

 だけど女性経験なんてもちろんあるわけがないヘタレな僕は急に怖気づき、トランを突き放してしまう。


「やっぱりもっと、互いを知ってからじゃ・・・」


「ご主人様は私とするのは嫌ですか?・・・そうですよね。私のような末端の配下が偉大で至高なるご主人様を汚すような真似どうして出来ましょうか。申し訳ございありませんご主人様」

 感情が高ぶり最初は声を荒げるがすぐさま跪き、心の底からの謝罪の意が示される。

 僕は今の行動がたまらなく嫌だった。それと同時に急に恐怖を覚えてしまった。僕自身はトランに何もしてあげれてないし、何も示せていない。

 トランは僕が使い魔召喚の儀式で呼び出した神が呼び出した魔物に過ぎない。

 それなのにどうしてここまでの絶対の忠誠を誓い、僕を偉大で至高とまで表現するんだ。 

 何がトランをそこまで駆り立てるんだ。名前を授けたと言ったけど、その名前にどれだけの価値があるんだ。

 パスから感じるトランの感情は本物だと思う。本物だと思うからこそ恐怖は余計に増す。


「トラン。僕はそんなことは思わないしこれからも思うつもりはない。だから聞かせてくれ、教えてくれトラン。何で僕にこんな僕なんかに絶対の忠誠を誓うんだ」


「私の様な末端の存在が偉大で至高なるご主人様に忠誠を誓うことに何の疑問があるのでしょうか」


「だから僕が何で?」

 その偉大で至高なるというのが分からない。末端というが僕からしてみればトランは雲の上のはるか上の上位存在だ。


 その瞬間だった。突如空間が歪み一人の僕にそっくりの男が現れた。


「やあ。という訳で呼ばれてないけどパパパパーン、分体で登場。最上位神であり君に呼ばれて神の世界からやって来た使い魔だよ。よろしく~」

 何とも緩い感じで存在だけで世界を滅ぼす最上位神が呼んでもないのに勝手に登場した。

 さっき呼んだときは全身に靄がかかっていてその姿を認識することすら出来なかったけど、今なら分かる。

 中肉中背で黒髪、探せばどこにでもいそうな平凡な少年である僕の姿に酷似していた。


「いや、僕じゃん」

 

「そうだね。君だね。というか俺だね。まあ落ち着けって今から色々と説明してやるからよう」



―――――――――――


 カエルロッド王国歴473年6月13日

 最上位神の分体がこの世界に具現を果たす。

 そして主人公は数多の真実を知る。

 

―――――――――――


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