第16話
すると、不思議な事にさっきは別次元への扉として機能していたであろうイタリア坂が、今度は全く違う顔を見せている。
坂の道の両側を木と緑で包まれ、地球を焦がさんばかりの太陽の日差しでさえも遮っている姿が、その時の私にはオアシスのように思えたのだった。
こんな素敵な場所が家の近くにあったのか。
今まで、(どうして試練を与えるのか?)とか(どうしてうちからコンビ二は遠いんだ?)などと、愚痴ばかりこぼしてごめんなさいっ!
神様にそう謝罪したいくらい、この場所の存在を知れた事が私は嬉しかった。
今となっては、この坂の下にあったイタリア料理店の名前も分からないし、この坂がイタリア坂と呼ばれている事を教えてくれたマイですら、この坂の存在を忘れているかもしれない。
しかし、私の目の前には確実にイタリア坂が存在し、私の意識の全てを奪い去ろうとしているのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます