令状弌 ザトキワ周辺の事案

前科3犯 キラリとオナチュウ⭐︎⌁͛(⚫︎◕◞౪◟◕⚫︎)⚡︎✰

↓前前科のあらすじ↓

 バザラタウンの外れで母と娘、つつましく暮らしていた2人の大切な時間を壊すように突如現れたのは世界の悪意国家権力

 無情むじょうにも目の前で母を奪われた星星星ほしぼし=きらりは母を取り戻すため、そしてこの理不尽りふじんな世界への復讐ふくしゅうのために冒険の旅へと出るのであった———

↑前前科のあらすじおわり↑


 

 日が登って間も無くの頃。

 一人の少女がスタスタと足取り軽く石畳いしだたみを叩き進む。

 その道は一応舗装ほそうされてはいるがまともに整備がされておらず、石の割れ目からは生命力たくましく雑草が伸びていた。


「とりあえずザトキワシティに行ってみよ⭐︎」


 何やかんやあって警察によるガサ入れ家に居られなくなったキラリはバザラタウンの外れにある生家を飛び出しちょうど良い機会とばかりにそのまま冒険の旅へと繰り出した。


 天気は良好、気分は上々の絶好の旅日和、だがしかしこの世界は危険に満ちており女子供の一人旅など正気の沙汰さたではない。


 そのことをあらためて認識させるかの様に少女の歩く道の脇より迫る陰、背の高い草むらが揺れ———


「ゴルァアァァァ!!」≪あ ! やせいの ゴルァダが とびだしてきた !≫


 ピッ▶︎たたかう どうぐ

    こうかん にげる


      殴る

 ピッピッ▶︎蹴る

      罵る

      殺る  「ふんっ!」

          「ゴルァッ!!?」


 飛び出してきたゴルァダの胴をすくい上げる様に厚底靴で蹴りを放つ少女———


「おらぁ!!」

「———っルァッ!!ァ……ゲブラァ……」


 浮いたそのネズミの顔面に渾身こんしんの鉄拳を見舞い殴り飛ばす、数メートル先の地面に打ち付けられた巨大ネズミはしばらく痛みにもたえていたがやがてスンッと動きを止めた。


 命を喰らい合うギリギリ死闘のすえ、なんとか生きながらえた少女。


 血反吐ちへどを吐き横たわるそれを冷めた目で見下ろしながらまたいで進む。

 彼女の進んで来た道を振り返れば多数のゴルァダ犠牲者ハトポッポ犠牲者(ことりパチモン)の亡骸が転がっていた。


「ハカセの言ってた通りほんとにキケン⭐︎

わたし一人じゃモンスターや悪い人に襲われちゃう⭐︎⭐︎」


 厚底靴の爪先つまさきと靴裏を血でドス黒く染めたキラリが脇を締めて両腕を胸の前で絞り内股に片足を上げたぶりっ子ポーズを決めていた、

 その時———


 ≪[ ‼︎ ]≫


「あなた! パチモントレーナーね!!」


 木の陰に隠れて立っていたキャップを被った少女と目があった。


「何してるんですか〜? そんな所で⭐︎」


「問答は無用よっ! 目があったらパチモンバトル! それがこの世界の常識!」


「初めて知りました⭐︎」


「どこの田舎者よっ、とりあえず勝負よっ! いきなさい! ハトポッポ!!」


「くるっぽぉー(鳴き声)」 ≪ キャップガールの ツラミは ハトポッポを くりだした! ≫


 突然の展開に困惑気味のキラリを無視してキャップの少女が鳥型のフィギュアを擦り上げ徐ろにゴムを外す。

 すると幾度か少女が蹴り殺してきた大きいハトのようなスズメのような鳥型のパチモンが少女の足下あしもとあらわれた。


「なんか暑苦しいしとっとと消えて欲しい」


「えっ!?」


 ピッ▶︎たたかう どうぐ

    こうかん にげる


      殴る

 ピッピッ▶︎蹴る

      罵る

      殺る 


「おるらぁっ!!」≪キラリの ける ‼︎ ≫


「ポゲボォッ!!」≪ ハトポッポは たおれた! ≫


「!? ちょっ!? 何してるのっ!」


「蹴り」


「行動を聞いたんじゃない! 意図いとを聞いたのよっ!!」


 先手必勝とばかりにハトポッポに蹴りをぶちかました、キラリへキャップの少女が抗議の声を上げた。


「これはパチモンバトルよ! トレーナーが直接攻撃してはダメなのっ!」


「え〜⭐︎ そうなんですか〜〜⭐︎⭐︎」


「そうなのっ! 全くこんな初歩のことも知らないってあなたどんなけ無知なの?」


「ひえ〜〜ん、ごめんなさ〜い⭐︎」


「何? あなた泣けば済むとでも思ってんの?」


 目の下に両手をやりあざとく泣き始めたキラリにキャップの少女が溜息を吐きながら詰め寄る。


「えっ、えっ……」


「あなたがいきなり蹴りかかってくるから私のハトポッポが瀕死ひんし状態になったじゃない! どうしてくれるのっ!」


「ごめんなさーーい」


「最近はパチモンセンターの利用料金も上がってるっていうのに!」


「……えーん……ごめん……」


「誤って済む問題じゃないわ、あなたの世間知らずのせいで何で目の前が真っ暗にならなきゃならないの?」


「……………さい……」


「何? 聞こえないわ、ちゃんと謝りなさいよっ、そうよ! お金、お金払ってよね!

あんたにやられたハトポッポの医療費パチセン代と目の前が真っ暗になった慰謝りょ————」


「うるさい……」


「はぁ? な、なによ」


「さっきから何度も謝っってんだろぉっ! しっけぇんだよっ、このダボがぁ!!」


 突如目の前の少女の口から漏れたドスの効いた声に困惑し動きを止めたキャップの少女ツラミの腹に拳が刺さった。


「ごぶぉ……ゲボォ」


 ビチャビチャビチャと聞くに耐えない音を立ててキャップの少女の口から腹の内容物が零れ落ち、その上に膝をついてそのまま少女が前のめりに倒れ伏す。


「はっ、ざまぁ」


 そしてキラリは自身の吐瀉物としゃぶつの上に倒れた少女へ文字通り汚物を見る視線と心底つまんなそうな声を吐き捨てた。




「こわ〜〜い⭐︎ モンスターだけじゃ無くてあんな人たちもこの道にいるの〜〜⭐︎⭐︎」


 突如襲ってきたキャップの少女ツラミを何とか退けボコり気絶した彼女のポケットから財布の中身だけ(良心)を抜き取って歩くこと暫く、いまだ続く隣町への道のりを不安そうな声を出しながら進む少女。


「————っ!」


 その敏感な聴力も以てかすかな物音を捉えキラリは動きを止める。


 キラリは息をひそめ辺りの気配を探るようにゆっくりと視線を巡らす———


 ガサっと大きく草むらが揺れたのに反応して少女が弱いパチモンならそれだけで死にそうな鋭い目付きガンを飛ばした。


「………」


 モンスターか、もしくはさっきみたいなパチモントレーナー不審者か、いずれにせよ飛び出してきたら即座に蹴り殺してやる、とばかりに厚底靴の爪先でトントンと地面を叩きながら身構える少女。


「…………。あれ〜〜⭐︎」


 しかし数時すうとき待っても何も飛び出してくる様子がない、だが確かに何かの気配は感じる。

 少女は首を傾げながらも音と気配を殺し既に達人のいきに達している抜き足差し足を以て草むらへと近付き————


「おっおっおっ……おっふっ……くっ、いっ

」≪キラリは へんしゅつしゃを みつけた!≫


 覗き込んだ草むらの中で素っ裸の男が己の槍を磨いていた。


「…………おじさん何してるの?」


「ふぁ!?」


 キラリの声に素っ頓狂すっとんきょうな声を上げて動きを止める裸男。

 凍る刻、少女の星柄の瞳孔どうこうと裸男の黒い瞳孔が交差する。


「ふぁ! お、お嬢ちゃんなんや!

アレ? てかここどこ? 何でワイ外おるねん、えっ服服……あらへん、てかあかん…っ!

とっ……止まらん」


 まるで己の状況に今気がついた様な声を上げる男、しかしそれよりも今は己の限界点の近さを感じて焦っていた。


「おじさん裸で何してるの?」


「そう、おにぃさん裸でナニしてるんやでっ、って言うてる場合か!

マジあかんあかん、お嬢ちゃんのその目付きであ♡、あかんっ——何か……はよっ! 

いっっっ———」


「コレ使う?」


 少女が差し出したのはパチモン捕獲道具<コンソール=ドーム>、それを見た男は砂漠でオアシスに出会った様に涙を浮かべ満面の笑みを浮かべる。


「おあつらえむきぃ」


 普通に現行犯な男がキラリから<コンソール=ドーム>を受け取り外袋を破り開け取り出した薄ピンクの皮膜を己の己に当てがい一気に包み込む———


「ふぁ!? 何やコレぇ!!」


 男の槍を始点にピンクの薄膜が全身へと拡がり包まれた男の体躯たいくが縮んでいく。


「おっ、おっ、おっ、おっ——ぁ——ふぅ」


 脈動みゃくどうするように拡大縮小を繰り返していたピンクの薄膜うすまく、やがて男の満足気な声と共に縮まったままで収まった。


「…………」


 一連の流れをジッと観察していたキラリが静かになった草むらに分入りピンクの人形フィギュアと化した男を指先でつまむように拾い上げ———


オ◯◯ー中のおじさんオナチュウ! ゲトです!!⭐︎⭐︎」


 高らかに掲げて宣言した。

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