第23話

「ごめん。」

 小さく絞り出した青木の言葉に、真衣はゆっくりと俯き、そして泣きながら顔を上げると、

「私は悠が好きなの!」

と言った。

例の肝試しの事件で死体を発見した時に、冷静に警察や救急車を呼び、その後も元気づけ支えてくれた・・・そんな姿がたくましく見えたのだという。

「約束するまで帰さない・・・」

戸惑って身動きを取れずにいる青木に、真衣はしっかりと抱きついた。そのサラサラの髪や腹に当たる柔らかい胸の感触、背中を掴む小さい手、微かに震える細い肩・・・真衣の全てが可愛く愛おしく見えた。淡く暖かな感情が胸を支配してゆく・・・

青木は真衣の顎にそっと手を添え顔を上げさせると、優しく口づけをした。

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