”Romantic Love” への「あこがれ」
夢美瑠瑠
第1話
さだまさしさんの、初期の曲に「あこがれ」というのがある。
「グレープ」というデュオだった頃で、みずみずしい詞と曲の、ストレートでシンプルなラブソング。まだ小学生くらいの自分は、いろんなフォークソングの中でもこの曲のメロディやアレンジが好きで、よく聴いていた。
恋というものに文字通りに「あこがれ」ていたころで、憧れるしかすべもなくて、流行のカレッジフォークの、リリカルなムードとか曲調で”恋”を追体験していたのです。
当時に愛読していた小説には、武者小路実篤の「愛と死」があり、これも青春の恋物語。切なくて哀しいストーリーなのですが、恋をする喜びというのがすこぶるリアルに体験できる佳編でした。
恋やら愛という感情には、まあ精神や肉体の成熟が必要で、子供は無理である…しかし恋や愛というのが人生におけるもっとも尊いものではないか?そういう認識は芽生えつつあり、実際にロマンチックラブ、というヨーロッパ起源らしい観念が、たぶん明治維新以降には主流だと思います。
このあとは生半可だが?江戸期まではそうでもなく、「色恋沙汰」と、疎んじられたりして、一種のはしか?のようにもとらえられていたらしい。
さだまさしさんにも、「恋愛症候群」という歌もあり、♪恋と呼ばれる一過性の発情症候群における~♪、というのが歌いだしである。
立花隆さんという評論家の「ぼくはこんな本を読んできた」という本には、中学生の立花さんの作文が載っているのだが、その末尾は、たくさんの本を読んできた自分だが、…という全体の内容の〆として、「人間の人生においては”恋”、”愛”というものが重要らしく、まだよくわからないが、その最も重要な要素をこれから知っていこうと思う」といような、ちょっと曖昧なニュアンスの文言があった。
で、立花さんでもさださんでも、本当に「恋愛」が、”森羅万象の中でもっとも重要”かどうかというところは保留されているのですが、思春期を過ぎるとわりと人間も発想がひねこびてくるのか?いろいろな本とかを読むと、ストレートな恋愛賛美の趣旨のものは少数派になってくる感じもあった。
自分も還暦を過ぎて、到底「青春真っただ中」とは言えないが? 「一生青春」というのがモットー、という人もいるであろう。
恋に「あこがれ」ている頃が、実はもっとも恋愛というものを甘美に思うのであって、現実には結婚して幻滅して、成田離婚?なんてのもザラかな? 「結婚は人生の墓場」とか言う言葉もあった。
森瑤子さんの著書を読み漁っていたことありますが、リアルにいろんな修羅場とかも恋愛、性愛にはつきまとう…そういうことを意地悪に描写している話も多かった。気がした。
ボクはまあ、廃人同然の期間も長くて、童貞で、デートというものも知らない。
が、それだけに、「幻滅」というところまでも辿り着いたことすらなくて、で、昔にさだまさしさんやかぐや姫さんの青春ソングを聴いたころのままに、恋や女性に素朴な「あこがれ」を抱き続けている感じです。
途中にブランクがあった分、浦島太郎とか、? タイムマシンに乗って未来へ来た人のごとくに、まだ恋愛のイロハも知りません。 (ABCだとちょっと即物的になるけど?w)
片輪な人間の人生ではあるが、みずみずしい素朴なロマンチックラブへの「あこがれ」。とりわけそれを死ぬまで持ち続けていられれば、そのほうが素晴らしい人生になるのではないか? 「命短し恋せよ乙女」というゴンドラの唄?の歌詞、あるいは「柔肌の熱き血潮に触れもせでさみしからずや道を説く君」という与謝野晶子の歌とかを、棺桶を覆うその日まで?自分は座右の銘に…できたらいいナア?
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