カッパの里11
「どういう事だ……?」
修は現状の状態が飲み込めず、首をひねる。
徒花が彼らを悩ませる種だったのかと。
修にしてみれば、徒花がそんなに悪い人物だとは思え無かった。
カッパ?はそんな修の姿を見て、ケッと皮肉めいた笑い声を上げると、これで話は終わりだと言わんばかりに修の前から立ち去ろうとした。
そのまま行かせる訳には行かない修はカッパ?の行く手を遮るように右手を差し出した。
「何をするっちゃ」
「『何をする』って、まだ話は終わってないだろ。俺と麗はお前達の依頼を叶えるためにここに来たんだ。詳しく話を聞かせてくれ。お前が無理だと判断しようがしまいが、天狗に送り込まれてここまで来たんだ。俺と麗はこのまま手ぶらで帰る訳には行かない」
カッパ?は修の話を聞いて腕組みをしてしばらく考えるような素振りを見せる。
「猫の手も借りたいくらいだー。とりあえず、野良仕事手伝って貰ったらよかべ?」
修と麗を助けてくれた、もう一匹の方のカッパ?が間に割って入ってきた。
なんの話をしているのかよく分からない修は二匹の会話を黙って見守るしか無かった。
「んだけんども、よそ者さ関わらせたくねぇんだ」
「予定よりだいぶ遅れてんだ、しょうがないっちゃ?」
方言丸出しで、何を言っているのかはよく分からない修であったが、新たに現れたカッパ?が修の肩を持ってくれている事だけは理解した。
最初に話したカッパ?が態度を見ているだけでやけに敵対的なのが気になる修であったが、あえて口は挟まなかった。
敵対的なカッパ?がしばらく修の方を値踏みするような目つきで見ると、修の腕にペタペタと突然触れた。
「な、なんだよ?」
何が起こっているのか理解できない修は抗議の声を上げるも、敵対的なカッパ?は返事はせずに修から離れて行ってしまう。
「おい。どこへ行くつもりだよ?コソコソ話してると思ったら急に人の体をベタベタと触って、今度はなんだ?放置プレイですか!?」
激昂する修であったが、カッパ?は至って冷静だった。
少し離れた位置でペタペタと足音を鳴らしながら修の方へ向くと、間髪入れずに言った。
「オラホ達は田植えで忙しいんだ!話さ聞きてえなら仕事が終わった後にしてけろ!」
そう強い口調で言い放つと、敵対的なカッパ?は立ち去ってしまった。
修はどうすればよいか分からなかった。カッパ?に完全に否定されたような気がしたからだ。
後ろ姿が遠くなっていく敵対的なカッパの姿を見送っていると、もう一匹のカッパ?が修の肩を叩いた。
「ほら、あいつの気が変わらんうちに、さっさと行くど」
「あ、ああ」
何が起こったのかは理解出来なかったが、ついて来いと言われたのだという事は理解した。
優しいカッパ?と共に、修は敵対的なカッパ?の後を追った。
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