彼と彼女の狂った愛情

優月紬

彼女の愛情

「俺と付き合ってくれませんか」

「不束者ですが、よろしくお願いします」


 私は彼を見つめてふわりと笑った。告白してくれた愛しい彼に、内に秘めている、己の狂った愛情を彼に悟らせないようにしながら。


 本当は今すぐ、彼の胸の中に飛び込んでしまいたい。彼の腕の中に閉じ込められて、私の全てを見せてしまいたい。彼の温かい手のひらで、私にそっと触れて欲しい。いや、私が彼を、思いっきり愛してしまいたい。彼の全てを暴いて、彼の全てを手に入れたい。

 いや、そんなものでは全然足りない。彼の全てを、私の中に取り込みたい。彼を儚くして、彼の中に流れる赤い雫を、肉を、口一杯に頬貼りたい。そしたら私は、彼で満たされることができるのに。私達は、本当の意味で一つの生き物になってしまえるのに。

 ああ、でもそれはダメだ、私が彼を取り込んでしまえば、彼の存在が無くなってしまう。私は彼の声も、私を愛おしそうに見つめてくれる目も、全てが大好きだ。彼を儚くすることなんて、できるはずがない。せめて一刻も早く、彼と一つになることはできないだろうか。取り込んでしまうのではなく、せめて繋がってしまいたい。順番なんてすっ飛ばして、今すぐ私を彼の家にでも連れて行ってくれないだろうか。


「いつから好きでいてくれたの?」

「初めて出会った時からずっとだよ」

「それなら、私と同じだね」


 私は微笑んだ。先程想いが通じて恋人同士になったばかりの愛しい彼に、己の狂った愛情を悟らせないように。

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