第13話 大空へ飛び立つ

 ソライは地上を振り返り、自分をかばい捕まりそうなニイルの許にすぐ戻り、

 守りたいという衝動しょうどうと戦っていた。


 しかし戻れば、せっかくのニイルの行為を無駄にしてしまう。


 身を切られる思いで急ぎ丘へと向かった。


「ニイルごめん、無事でいてくれ。」


 胸が痛くなる様な心の痛みを生まれてはじめて味わった。


 危険だった地上から離れ、丘に向かって飛行を続けると

 追い風が味方となり、一気に目的地についた。


 丘の上の光の柱の中に子供達を降ろし、

 すぐさま来た道を引き返した。


 今度も追い風の助けで、あっという間に砦に到着した。


 戻ってみると空から見える地上の景色は一変しており、

 一か所大地が大きく抉られたように陥没かんぼつしていた。


 大地の精霊の助けかなと考え、ニールの安全と子供達の無事を願い

 地上を見下ろした。


 少し先に光の球体が見え、全員がソライの姿に気が付いて

 笑顔で手を振っていた。


 ニイルを含め、全員無事だとほっとする。

 そして笑顔のニイルを(何てかわいいんだ)と見つめ続けた。


 そんな自分に戸惑いを感じながら急降下で地上へと舞い降りる。



 沢山いた兵士の姿もなく、このスキに早く子供達を

 丘に運ぼうと手際よく数人づつ連れて丘とこちらを何度も往復した。


 後2回位という段になった所で仲間を救出し終えた兵士達が

 こちらに気が付いてしまった。


「おい!子供が逃げるぞっ。早く捕まえろっ。」


 そう大声を張り上げながら全速力でこちらに向かってきた。


 前回よりも大勢の人数がこちらに向かってきている。


 間に合わない!

 とっさにソライは考えを巡らせ何度も往復するのは難しいと判断し

 光の球体ごと持ち上げて飛びたつ事を決意した。


 球体の中で盾を抱きかかえて飛ぼうとしたが

 ソライがしっかりつかむと盾の光が薄くなってしまう様だった。


 やむなく球体の上部に出て手だけ球体に差し入れ渾身こんしんの力で持ち上げた。


 しかしバランスがつかめず光の球体が揺れ、

 中にいた子供達が叫び声をあげながら右左に倒れた。


 その状況をみてニイルは子供達に指示を出す。


「みんな!盾の後ろで放射線状ほうしゃせんじょうに足を広げて座ってから

 隣の人と腕を組んで。」

 かけ声に従って子供達は素早く体制を変える。


 今度はバランスよく球体を持ち上がったが、

 脚の速い兵士が球体のまわりに迫ってきていた。


「あいつらがきたよ。」

「ソライ早く!!」


 球体の中から焦り声あせりごえがあがる。


 ソライは慌てて空に上がろうとするが

 あわてるとバランスを崩し、中々上に上がらない。


 そうこうしている内に兵士が続々と到着し、

 ナイフや石、棒など投げられる物は何でもなげてきた。


 武器は光の球体にあたりバウンドして

 投げた者に向かって急スピードで跳ねはね返った。


 結果、兵士達が逃げ惑う様子を見て子供達は笑い出した。


 そんな中、兵士の一人が状況を見極みきわめ叫ぶ。


「球体に投げても跳ね返って自滅じめつするだけだ。

 外にいる羽の生えた奴だけを狙え!」


 全ての兵士が唯一ゆいいつ球体の外にいるソライに目を向けた。


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