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もとの世界に戻れて数日間、俺は学校をバイトの理由でしばらくの間エマたちに任せてしまった。そいつの顔が今もちらつき夢でも現実でもそいつが常にいるようで気が気ではなかったからだ。いつエレベーターの扉を開いたらそいつが現れるかもしれないとその恐怖だけでエレベーターに乗れなくなってしまった。


いなくなったと思っていたトキオはちゃんと大学に通っていた。エマたちとタンスの中に引き込まれたはずだが彼は寮にいたという。おかしい。なら、エマたちと一緒にいた彼は本物だったのだろうか。だめだ、また悪夢に囚われてしまう。今は、なすべきことだけを考えろ。

ひとつめ、未来に帰ること。

ふたつめ、彼女を取り戻すこと

ただ、それだけのことだけを考えろ。

エレベーターの扉の先に現れるトキオの姿をしたそいつが現れた。いつになく霧が足元を立ち込めている。おそらく夢の中だろう。

だけど、そいつはゆっくりと顔を近づけ左手で俺の頬を触ってきた。

「ニ▪ガ▪サ▪ナ▪イ」

飛び上がるかのように毛布をけり飛ばした。全身汗だくで心臓の鼓動が止まらない。呼吸が乱れそばにあったミネラルウォーターを飲みきる。冷静を取り戻した後、部屋の明かりをつけた。自室にいることを確認し、あれが夢であったことに安心したのも束の間。

ふわっと冷たい風が頬を撫でた。白い靄のようなものが部屋の中に流れてきた。冷気かそれとも霧か。どちらにせよ、悪夢が現実となって姿を現した。

「ニ▪ガ▪サ▪ナ▪イ」

耳のすぐそばでその声が聞こえた。俺は部屋から飛び出した。悪夢はまだ終わっていなかった。

空がオレンジ色の夕焼けだった。建物はすべて真っ黒に塗りつぶされたハリボテだった。

現実に戻ったと生活していたのは夢で事実はこの世界をさ迷い続けていた。

「エマは…」

知り合って間もないなか、友達でも仲間でもない。ただ、そいつだけが俺の心を冷静にいさせてもらえる気がして名前を呼ぶ。

「オ▪マ▪エ▪ワ▪ル▪イ!」

背後からそいつが近づいてくる気配がした。周辺をくまなく目を凝らして隠れそうなところを探しそこに逃げ隠れた。

そいつがこちらに来るなり声が聞こえてくる。

「エマハワタサナイ」

渡さない…? どういうことだ。

「オワリ」

は?

冷たい空気が肩から零れるような奇妙な感覚。全身がゾクゾクした。振り返るのが怖くて振り返られない。なぜなら、そいつは左肩よりすぐ上にあったからだ。視線を向ければそいつの頭が見えてしまう。逃げようにも足に力が入らない。ゲームオーバーだ。




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