裏世界(タンス)ロード
黒白 黎
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郊外にあった叔父の別荘へよく遊びに行っていた。都会にはない静かで鳥たちの歌声が聞こえてくる不思議な世界だった。叔父は別荘を買ったときは借金していたと語っていた。高校生の頃、借金に回らなくなった叔父は両親に頼み込み、叔父の家から我が家に変わったのはよく覚えている。
高校生の夏、土地の開拓がはじまり、別荘も立ち退きしなくてはならなくなった。元々土地自体は別の人の名義になっており、叔父も両親も不動産に騙されたことに怒りを覚えていた。
別荘が解体する前、彼女と一緒に荷物の片づけに向かった。
両親や叔父があらかじめ片付けていたのか荷物はさほどなく、残っていたのは壁の落書きとレシートのごみだった。
思い出を蘇らせながら彼女と一緒にごみの後片付けをしていると、廊下の奥に祖母のタンスが残されていたことに気づいた。
なぜ、これだけ残されているのか不思議だった。新方の家具は両親や業者にもっていってもらっているはずだ。それがなぜ、これだけ残されていたのか謎だ。
彼女に手伝ってもらい、そのタンスを動かそうとしたとき、扉が開いた。
服があるでもなく空洞がどこまでも続いていた。
「なんだよ、これ」
初めて声が出た。無心で声も普段出さない俺でもこればかりかは声を出さずにはいられなかった。
その声を待っていたとばかりに、何者かの手が彼女の腕を引っ張った。
「タケ!」
俺の名前を呼ぶ彼女は空洞の奥へと引きずり込まれた。闇の中へと姿形が消えてしまった。躊躇したが、ここで失いたくないと後を追った。
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