第17話 宴席
宴席には、ぽんと目立つ衝立がおかれていた。ハオランの入場に、しんと辺りが静まりかえる。恐れ、怯え、侮り、憐憫――あまりのわざとらしさに、いっそユーシェンは笑えたが、当人はそれどころではなかろう。
もとより、男妻はたいていの会で末席に座るゆえに、このような扱いに、たいした驚きもないのだが……ここまで辱めるとは、気力体力満ちた青年にあまり恥をかかせるはよくない、ということを知らぬのだろうか。今ここでハオランは、ユーシェンの首をたたっ切りかねない。
しかし、自分には、こんな時かけるうまい言葉もないから、進むほかない。
「ああ、あそこか〜。行きましょ、殿下」
ユーシェンは、ハオランの手を引き、大股で歩いて、その場に向かう。周囲が無作法に眉をひそめたのをいいことに、へらへら笑った。「痴れ者が」とささやきが聞こえる。
「俺、腹がすきました。今夜は、何を振る舞ってもらえるんでしょうかねえ」
間の抜けた声で言いながら、ユーシェンはハオランの隣に腰かけた。ちょうど、ユーシェンだけ、衝立から飛び出る形だ。ハオランの姿は衝立に隠れたが、隣にいるユーシェンからは見える。ひとりじゃないなどと励ます気もないし、自分たちはそのような間柄でもない。しかしまあ、気持ちは少しはわかりますよ。俺も男だもの。
ハオランは何も言わなかった。
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