第47話 報復
部屋をノックする音がする。
「ガブリエラさん、入りますよ」
セシリアが例のメラニーと言う名の女性を連れて入ってきた。
「おはようございます。メラニー・ガルシアですよ。久しぶりですねお姉さま」
お姉さま?
「ずいぶん、表情が明るくなりましたね。それでこそ私が知るお姉さんです」
(そうか、この女性は私の妹、メラニーだ。そうに違いない)
「メラニー?メラニー!久しぶりね。元気だったの」
「やっと分かってくれたのですね!私、お姉さんが居なくなってから
心配しました。どこへ行ったのか皆目わからなかったんですもの」
「そう、心配かけたね。ごめんなさい」
二人は長い時間ハグしている。
「私の名は?」
「お姉さんの名前はシルヴィー。シルヴィー・ガルシアですよ」
(そう、私はシルヴィーだ!そうだった。ガブリエラは誰かに名付けられたのだ)
「しばらく見ないうちに身体つきが、変わりましたよね?」
(そうだ、あのジェイミー・ギャレットの屋敷で鍛えられたからか
このままでいいんだろうか?)
「セシリアさん、みんなを呼んでもらえますか?」
ややしばらくすると、メンバー全員が部屋に入ってきた。
「ようやく洗脳が解けたんですね。よかったっす」
ベッカーも、ケトラーも皆、笑顔で彼女を見ている。
「そう言えばあなた方には、酷いことをしてしまいました。本当にごめんなさい」
「仕方ないっす。ギャレット商会の思うままにされていたんですしね。
洗脳が解ければ、何も言う事はありません」レナはそう言ってシルヴィーの肩を抱いた。
「でも・・・」
「たまにあの時の記憶が蘇ることがあります。おそらく私は罪もない人に酷い
仕打ちをしたり、人殺しをしたこともあったようです。その罪を償わなければ
私の気持ちが収まりません」
「シルヴィーさん、あなたさえよければ、私たちの仲間になってくれませんか?
無理にとは言いません。罪償いにもなるかもしれませんし」
「あなたたちに酷いことをしてきた私をですか?仲間に?
それは・・・・出来ません」シルヴィーは俯いて泣いている。
「メラニーと私、二人で静かに暮らしたいと思っています」
「お姉さん・・・ありがとう」
「でも、あなた方のお力になれるのであればとは思いますが・・・
今は少し休ませて下さい」
「解りました。その気になったらここへお出で下さい」と俺は言って、
シルヴィーとメラニーの姉妹を送り出した。
「ケトラー、護衛に行ってもらえる?」
「解った、じゃあお二人行きましょう」
姉妹は出口でお辞儀をして去っていった。
「これでよかったのね」
「レナもそう思う?みんなも?」
みな、うなずいているから良かったと思っているのだろう。
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そのころギャレット商会ではガブリエラの消息が不明になった事を
総帥ジェイミー・ギャレットをはじめ、幹部やレッドガーディアンズのメンバーが
その行方を必死に探していた。
「どこだ!どこにいるのだ?ガブリエラ」
「王国監査局に訴えられたら、自分たちは終わりだ!探せ!」
かつてガブリエラの部下だったレベッカは姉妹が住んでいるであろう
郊外の一軒家を思い出した。(おそらくあの家に二人いるはず)
レベッカは「デビ―、あの家だ。あそこにいるはずだ。急ごう」
「了解!」
二人は姉妹が暮らしているであろう家に急行して・・・
ドカッ!
木の扉を蹴り開けると、二人の人影があった。
「よく来たな」そこには仁王立ちのガブリエラがいた「私が相手だ、来い!」
10分後
う・うううう・・・・ううう・・・・・う・・う・・う・・
傷だらけで床に横たわるレベッカとデビ―。
「私を倒そうとは浅はかな。100年早いぞ!帰れ!!」
二人は這う這うの体でその家を出て行った。
「お姉さん、大丈夫?」
「大丈夫よ。でもまたあんな奴らが来ないとは限らないからね、気をつけよう」
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シルヴィーとメラニーの家が襲われたことは、すぐマリーたちにも伝わった。
「彼女たちをあそこに住まわせるのは危なくないか?」
「あたしが一緒に住むのはどう?」
「レナが?」
「ええ、あたしじゃ役不足とでも?」
「い、いいや、そういう訳では・・・」
「じゃあ、決まりね。明日から二人の家に行くからね」
レナはそう言って、自分の部屋に戻り支度をはじめていた。
「大丈夫かな?」
「なに?心配なの?マリー」
「カトリーヌは心配じゃないの?」
「レナは、ああ見えてしっかり者よ。だから大丈夫だと思ってんの」
「そうよ、彼女がいれば何の問題もないと思うけどね」
セシリアも同じらしく
「マリーは心配しすぎよ。任せておきなって」
数日後。
レナといっしょにシルヴィーとメラニーがやってきた
「変わったことはないか?」
「あるわけないっしょ?あたしが付いているんだし。ねっ?」
「そうですレナさんはホントによく気が付く方です。私の昔の仲間も来ませんし」
俺たちといっしょに行動するようになってレナはすっかり変わったようで。
「あたしは伯爵家の跡継ぎだったけど、それはもう昔の話。
いま、私はみんなといっしょに居ることに幸せを感じているんだよ。
冒険者としてもね、いろんな経験をさせて貰ってるしさ」
「そう言えば・・・」とメラニーが話し出す。
「お姉さんが外へ出る時に、あとをつけている人がいるんです。
気を付けるように言っていますけど」
それはギャレット商会が雇ったチンピラらしきが付けているらしい・・・
「でもシルヴィなら、そんなチンピラが絡んできても瞬殺できるでしょ?
だからあたし、心配してなかったんですけど・・・」
もしかして何かがあったのかとメラニーが続ける話を聞こうとした。
「もうそれ以上は言わなくていいわ」
シルヴィー自身が話を遮り、「そこからは私が」
シルヴィーがある日買い物に出たとき、案の定チンピラが後をつけて来たそうだ。
ところがこの日は、いきなりチンピラが絡んできたと思ったら、
彼女に格闘技を教え込んだ、ギャレット商会の用心棒が出てきた。
「ガブリエラ、お前組織を裏切ったんだってな」
「・・・だから何?」
「裏切り者は生きていられない。そう教えられたはずだ」
「・・・・」
「行くぞ」用心棒がいきなり殴りかかってきた。
「だから私はすぐに反撃に出たんです」
その用心棒と互角の勝負をしていた時、彼女の背後から羽交い絞めにする奴が。
「卑怯者!」
「ふふふ、何とでも言え!組織を裏切ったお前の方が卑怯者だ!」
身動きのとれないシルヴィーに、その用心棒は腹パンチ、蹴り、ビンタと
あらゆる暴力を彼女に加えた。
「ははは。俺たち組織を裏切った奴はこうなるんだ。殺されないだけ良かったと思え!」
「・・・ううう・・・誰が・・・」
「誰が?決まってるだろ?ジェイミー・ギャレットさまよ。
ジェイミーさまに身も心も捧げたくせに裏切ったんだからな。当然だろ?」
「くっ・・・・」
彼女はその場に倒れたまま。
見かねた住民が助けてくれ、家まで連れてきてくれたんだそうだ。
「ごめんなさい・・・あたしが一緒にいながらこんなことに・・・」
「ううん、いいのよレナ。いままで街の人やあなたたちにしてきた事への償い
なのだから」
ドロシーが作成していた
ギャレット商会と市幹部の癒着実態を暴いた文書を
「昨日、郵便馬車に乗せて王都へ送ったわ。訴状も王国監査局へ送っておいたよ」
ブラントは、
「監査局が取り上げてくれるかどうかわからんけど、もう一通の文書は王都にある
フロンティア社へ送ったんだそうだ。
「そのフロンティア社って何?」
「ああ、それは壁新聞を作っている組織でね。王都の目抜き通りや王宮前広場とか
目立つところに壁新聞を作成して貼りだしているという会社なんだ」
「そういうところに貼りだすのは効果的だよね?」
「そうだな。王都は教育水準も高いし、当然ながらすべての人が読み書きできるし
エラントデリアの現状を知らせるには格好の媒体だとおもうけどね」
すると意外なところから反応があった。
第47話 完
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