第37話 エルフ奪還作戦

「そろそろあのリゾート計画を進めたいけど、エルフはどう?ガブリエラ?」

「まだ移動には応じていません」

「そう。よろしく頼むわよ」

「心得ました」


エルフの長老を殺してしまったのは、いかにもマズい。

しかし、やってしまったことは仕方がない。

(ったく・・・あいつったら、あたしよりも弱っちい癖に

 血の気だけは多いんだから・・・こんど懲らしめてやるか。

 これからは男は使わねぇ・・・使えない奴らばかりだしなぁ)

ガブリエラ・ギャレットは、そう考えていた。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「マリー?エルフたちをどうするつもりなの?」

「どうしたらいいと思う?今まで通りの生活の方がいいと思うんだけどなぁ」

「でもギャレット商会の連中の強引なやり方をみると・・・ちょっとねぇ」

俺たちもエルフの里の近くで野営しながら、対応を考えていたのだったが・・・


「レナはどうしたい?」

「いままで通り、あの静かな場所でって思うけど」

「そうだね、みんなは?」

ケトラーもべっかーも、カトリーヌもセシリアもメンバー全員、

今まで通りの生活を送るべきだと思っていた。


だが


「ギャレット商会があの場所に目を付けた以上、それは難しいかもな」

それほどギャレット商会の”権力”は、このエラントデリアでは大きいのだ。


「だけどさぁ、このままじゃあ、エルフたちは追い出されるよね」

頭を抱える俺たち・・・



「明日さぁ、一度街へ戻ってブラントさんたちと対策を考えようか?」

「そうだね、その方がいいかも。ブラントさん、何かいい考えがあるかも」

レナの提案でブラントの意見を聞いてみようと言う事になった。


「俺、ここに残るよ。エルフたちに万が一の事が有ったら、すぐ街に行くから」

ベッカーが一人残るという。

「そうだね、誰か一人残ってほしいなぁと思ってたし。

 じゃあ、ベッカー頼むよ。なにかあったらすぐ連絡ね!」

「任せとけって!」




「そうか・・・

 可哀そうなことしたなぁ・・・長老が殺されたってのは、だいぶショックだぞ

 エルフたちにとっては」

「ですよねぇ。ですがあのギャレット商会の”用心棒”みたいな連中はなんなんです?

 殺してもなんの表情も変えずにいるなんて・・・信じられません」

怒りの表情を見せるレナ。

「そう、そのことなんだが」とブラントが話し始めた。

「ギャレット商会には、いわゆる傭兵のような連中がいて、彼らにとっての

 反対勢力を駆逐している、場合によっては・・・」

「場合による?」

「殺しもいとわない。そういう連中だから、くれぐれも気を付けてくれよ。

 あいつらみんなS級とかA級3+ていうハイレベルな連中だし、

 トップにいるのはS級3+っていう、化け物レベルのスペックを持っているからさ

 まともに戦ったら相手にされない。だからなるべくあの連中とは事を荒立てない

 ほうが身のためだ」

「そうは言ってもギャレット商会のやり口を何とかしないと、エラントデリアの街

 はいつまでたっても良くならないですよね?」

「それはそうなんだ・・・だから私たちも困っているんだ」


王国騎士団分遣隊でも相手にされない傭兵団。

それが【レッドガーディアンズ】なのだ。




数日後

エルフの里近くで野営していたベッカーがやって来た。

「エルフたちが連れ去られた!」

「なんだって!!」

ベッカーが見たときには、すでにエルフたちが退去した後で、集落はもぬけの殻。

「俺が寝ているうちに・・・すまない」

「いや、仕方ないよ。で、どこへ連れ去られたかわかるかい?」

「誰もいない集落へ入っていったら、ある家の扉に【東へ】ってあったんだ」

「東へ?」

ブラントの仲間のひとり、バーバラが「もしかして・・・」

「あのエルフの里の東と言うのは不毛の土地でね。土壌が火山灰で覆われていて

 作物がなかなか育たないところなのよ。そこへ連れていかれたのであれば

 それは死を意味するんだよ」という。


ギャレット商会は邪魔者は”消す”そういう組織であるらしい。

「どうしよう・・・どうしたらいいでしょ?ブラントさん良い案ありません?」

「困ったね・・・」ブラントもバーバラも、みんな頭を抱えるばかり・・・



「じゃあ、あたしたちが救い出すのは?闇夜に紛れて、あたしたちが連れ出す。

 どうかしら?」思い切ったことをレナが言う。

「うーん、いいけど、どうやって?」とカトリーヌ

「連れていかれたエルフは何人くらいなの?」

「およそ30人くらいかな?」

「荷物用の馬車なら2台あれば乗せられるから、連れて来ようよ」

「そういう馬車なら用意は出来ますよ」ブラントの部下であるグスタフ。

「それで、どこへ連れて行く?」

「ひとまず、私たちの所有する保養施設がエラントデリアの郊外にありますから

 そこに匿いましょう」

「なるほどそれはいいですね。そこで匿っている間に第二の移住先を探す。

 そう言う事にしましょうか」


その夜

「じゃあ行こう」

俺たちが乗る馬車と荷物用の馬車2台が闇夜に紛れてエラントデリアの街を出発した


深夜

「あそこかな?」

ベッカーが指さす先にかすかな炎が見える

「焚火で暖を取っているのかも」


暗闇の奥に、焚火が見える。

その周辺にいくつかのテントらしきがあるようだ。

「じゃあレナ、ベッカーと私が先に行こう」

「うん」



「あの」

「あなたはこの間のかたですね」

「はい。ひどい目に遭いましたね」

「もう人間は信用しませんから、お帰り下さい。我々はここで死ぬのですから」

「そんなことはありません。私たちと一緒に来てくれればもう少し安心してもらえます」

その後も俺たちはエルフたちを説得し続け・・・

「解りました。あなたたちは悪い人間ではない様です。いっしょに行きましょう」


エルフたちはぞろぞろと荷物用の馬車に乗ってきた。

「これで全員ですか?」「はい、そうです」


エルフたちは着の身着のまま追い出されたそうで。

「とにかくあの人たちは許せません。私たちの先祖が1000年ちかくも守ってきた

 土地を奪ったのですから」


エラントデリアの街に差し掛かろうとした、その時。

「お前たちどこへ行く」

「はい市場へ納入する作物を・・・」

「中を改める」


マズいぞ!これは・・・・


第37話 完










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