第8話 異世界のプレイボーイ

ギルドのお仕事をこなしていくうちに、

ミシェルもカトリーヌもレベルが上がっていった


「あたし、B級アタッカーになったのよ」

「そうか。ミシェルもついにB級に昇格したんだ」

「でも、マリーはすでにA級アーチャーでしょ?そっちの方がすごいんだけど」

ハーパーとの勝負で俺はこのギルドでA級アーチャーになってたんだっけ。

「そりゃあそうなんだけど、カトリーヌは?」

「あたしはまだC級僧侶だし・・・」

「僧侶はレベル上げがなかなかスムーズには行かないのよ。ここでは」

「そうなんだ。でもカトリーヌはうちらに居てもらわないと困るのよ。

 ありがたい存在なの。分かるよね。カトリーヌ」

「そうね、私なりに頑張るよ」


そのころから俺はマジシャンの勉強も進めていた。

ダークエルフは魔術が使えるというらしいし、実際使えたから、

もっと出来るようになりたいと思った。


社畜のころはスキルアップの勉強なんて思いもよらなかったけれど。


火が使えたから火属性の魔法をいろいろと学んでいるのだが

「マリーはさ、火属性の魔法の勉強してるんだって?」

「そう、できれば今まで以上に、キミたちをサポートできると思うんだ」

「それは良いことね。だったらさカトリーヌの知り合いに火属性魔法の使い手が

 いるから教えてもらったら?ね、カトリーヌ」

「そうですね、マリーさんが良ければ」



数日後、

「マリーさん。こちらが私の友達ダニエルさんですよ」

なんか俺が勤めていたブラック企業にこんな顔つきの奴がいたなぁ・・・嫌な予感

「ダニエルっす。よろしく」

どうもチャラい系の奴らしいが・・・


確かに魔術の知識は豊富で、やってみると実戦向きの魔術を教えてくれるんだが。

ずっとカトリーヌとイチャついてるんだよなぁ・・・それがちょっと。


「どしたの?マリー」

「いやぁカトリーヌと奴が・・・」

「あーそういうこと?だって二人は付き合ってるんだし」

「え?そうだったの?」

「そうよ。だから紹介したんじゃないの?」

なんだ・・・そうなのかよ。

と思っていても、なぜかもやもやしている俺がいる。


その日はそれで終わったのだけれど。



ナタリーといっしょに借りていた宿屋から出て、

ほど近い日本風に言えばワンルームマンション的なつくりの建物の一部屋を

借りて住んでいるのだが、俺の部屋がある建物の真正面にある、今住んでいる

建物よりも少し高級感のある建屋の同じ階の部屋の窓に、ダニエルの姿があった。


ふと見ると、そのダニエルはカトリーヌとは別の女性といっしょに居るのだ。

そのダニエルの部屋に同じ女の姿をたびたび見るようになった。


やつ、ダニエルはチャラい話し方をしながらも俺に魔術を教えてくれている。



数日後。

いつものように、ダニエルとカトリーヌがイチャついているのだが・・・

だんだん、二人の雰囲気が険悪になっていくのが分かった。はたで見ていても。


ダニエルを見ていると、チラチラと目線を外している。

その目線の先には、あの女の姿があった。同棲しているらしき若い女性だ。


そのうち

パシッ!!と鋭い音がして、カトリーヌが立ち上がり、その場を去っていった。

ダニエルは茫然としている。


「あーあ、終わったな。ね、マリーそうだよね?あの二人」

ミシェルは何故か楽しそうだが・・・

「まぁあたしも、あの二人は近々ああなると思ってたよ」

「なんで?」

「だってダニエルが半ば強引に交際を迫ったし、カトリーヌは最初嫌々だったの」

そうだったのか?

じゃあ、あの女がダニエルの本命なのか?

「それは分らないなぁ・・・ほかにも女がいるかもだし」

そんな奴なのか?チャラい奴だとは思ってたけど、二股、三股しているのか?

「このルミナシティアでは有名なプレイボーイなのよ。ダニエルって」

そりゃあ、カトリーヌも奴の頬をひっぱたいて正解だわw




数日後、

「そう言えばダニエルは?」

「ああ、あの人はこの街から消えたみたいよ。居られなくなったんじゃね?」

情報通のミシェルが言うし、そう言えば数日前からダニエルの部屋から灯りが

消えたんだよなぁ。


「あ、カトリーヌ」意外と元気な様子だ。

「おはよう!ミシェル。マリー」

なんだか雰囲気が今までよりも明るくなった気がするのは俺だけか?


「早く、つぎの仕事に行こうよ」

「カトリーヌがそんなこと言うのは、初めてだよね」

吹っ切れた表情の彼女を見て、俺もミシェルも心がようやく落ち着いた気がする。





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