第14話
「高村リーダー、素晴らしい進捗ですね」
会議室では、プロジェクトメンバーたちが誠一の報告に感心していた。エンジニアの中西がスクリーンに映るシステム設計図を指さし、質問する。
「このアルゴリズムはどこから着想を得たのですか?まるでニューラルネットワークとクオンタムコンピューティングの融合のようですが」
誠一は口を開きかけて、言葉に詰まった。確かに彼はこの設計図を作成した。しかし、どうやってその知識を得たのか、具体的なプロセスが思い出せない。
「それは...」
彼の頭の中でまた何かがざわめいた。断片的な映像。大学の図書館で量子力学の本を読んでいる自分。しかし、それは彼の記憶のはずがない。彼は経営学部だった。量子力学なんて学んだことはないはずだ。
「高村さん?」
「すみません、少し考えていました」誠一は息を整え、自信を取り戻した。「このアルゴリズムは過去のいくつかの理論を統合し、独自の改良を加えたものです。詳細はこちらの資料に...」
プロジェクターに映し出された技術仕様を説明しながら、誠一は自分自身に問いかけていた。*どうして私はこれを知っているんだ?*
会議が終わった後、黒木が彼に近づいてきた。
「高村、今度の日曜日、ゴルフどうだ?役員連中も参加するぞ。君のプロジェクトに興味を持っている」
以前なら夢のような誘いだった。しかし誠一は即答できなかった。日曜日は何かがあるような...。
「日曜は...」
その時、彼のスマートデバイスが通知音を鳴らした。カレンダー通知だ。『遥香の科学センター』と表示されている。
「申し訳ありません、その日は家族と約束があるんです」
黒木は少し驚いたように眉を上げた。「そうか。残念だな。では次回にしよう」
かつての黒木なら激怒したかもしれない。しかし今や彼の態度は明らかに変わっていた。才能ある部下として扱うようになっていた。
誠一は自分の判断に少し驚いた。かつての彼なら、家族との約束よりも仕事を優先しただろう。何が変わったのだろう?
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